2026年はアダム・スミスが経済学の古典「国富論」を出版して250年の節目にあたります▼経済学の父と称されることの多いアダム・スミスですが、生前はもう一つの主著「道徳感情論」を記した、哲学者、倫理学者として知られていたとされます。「国富論」も、「道徳感情論」の主張に基づく、法律論や統治論の体系の一部として意図されたものでした。現代の研究でも、二つの主著を一体でとらえ、より広い視野でその経済論を深めるものが増えていると言われます▼アダム・スミスの有名な「(神の)見えざる手」という言葉も、とらえ方が変化しています。「国富論」で、この言葉が言及されるのは、たった一カ所だといいます。そこで語られているのも、通俗的な、市場にゆだねればすべてうまくいくという「自由放任主義」ではなく、「道徳感情論」で主張した「共感」の思想に基づく、他者への配慮を前提としたものという見方が広がっています▼現代は、自由放任主義の極致のような新自由主義が世界を席巻する一方、それが生んだ貧富の格差など、資本主義自体を問い直す思想も共感を生んでいます。経済学の古典は、250年後の世界経済にも、さまざまな大切な示唆を与えてくれています。
東京民報2026年6月28日号より










