〈街角の小さな旅〉養蚕と絹織物の歴史と文化をたどる 絹の道資料館と桑都・八王子〈2026年10月4日号〉
- 2026/10/3
- 街角の小さな旅
浅川を渡れば
富士の雪白く
桑の都に青嵐吹く
西行
平安時代、武士の身分を捨て仏門に入った西行が、東大寺再建の勧請のため奥州・陸奥に下る途中、八王子の浅川を渡ったときに詠んだものです。
当時、八王子周辺は絹の産地として知られ、桑畑がひろがっており、桑の都(そうと)と呼ばれていました。また、万葉集には「たまがはに/さらすてづくりさらさらに/なにそこのこの/ここだかなしき」という歌も残されています。
絹の道資料館は、古代からの養蚕や製糸などの絹織物の歴史をたどる展示や蚕棚、繭玉や機織り機などの資料が展示されています。建物は、この地で生糸商を営んでいた生糸商人屋敷をイメージした入母屋式の建物となっています。

資料館の前の道が「絹の道」で、文化庁の「歴史の道百選」に選定されています。この道を介して万葉の時代から特産の絹糸、絹織物が奈良の都まで献上品として運ばれ、下って近世、鎖国が解かれ、西欧との交易のために開港された横浜とを結んで多摩地域からは絹織物、横浜からは西欧の文物や文化・思潮が行き交った歴史を有し、「浜街道」「神奈川往来」などとも呼ばれ、自由民権運動を醸成した要路でもありました。
資料館のすぐ上で、木々に覆われた未舗装の山道に入ります。切り通しのような道がつづき、青嵐の吹く、山里の景色が迎えてくれます。











