ゆかりの地で歴史を後世に 3周年の特別展を開催 大田区 勝海舟記念館(2022年9月25日号)

 豊かな自然に多くの人が憩う大田区の洗足池の近くに、小さな区立の博物館があります。幕末に幕臣として、江戸城無血開城の交渉にあたるなど活躍した、勝海舟(1823~99年)の記念館です。洗足池周辺は、海舟が晩年に別荘を持ったゆかりの場所。開館3周年の特別展を開催中の同館を訪ねました。

晩年の海舟の胸像

 「勝海舟のゆかりの地というと、生誕の地の墨田区や、屋敷のあった港区赤坂などが知られていますが、大田区とも大切な縁があります」―大田区立勝海舟記念館の河内奈々館長が、記念館の建物を前に話します。

 海舟が大田区と強いかかわりを持ったのが、江戸時代末期、新政府軍と幕府による江戸城無血開城の条件を詰める交渉が続いた1868年4月です。新政府軍の本陣があった池上本門寺(大田区池上)に向かうため、海舟は8日と9日、洗足池を経由して会談に向かったといいます。

 その時に見た洗足池の自然が気に入ったのか、晩年を迎えた1891年、海舟は洗足池のほとり、現在は記念館に隣接する大森第六中学校の校庭にあたる場所に、別荘「洗足軒」を構えます。生前の言葉に基づき、海舟と妻の墓も、洗足池のほとりに立っています。

 1928年(昭和3年)には、洗足軒や墓を管理し、海舟に関する資料を収集・公開することを目的に、この地に清明文庫という建物が造られました。その後、民間の手に渡った清明文庫の建物をめぐって、2012年ごろに取り壊す話が持ち上がりました。周辺住民から「長年、親しんだ建物を残してほしい」という声が高まり、区が取得して、勝海舟と大田区のかかわりや歴史を伝える記念館として活用することになります。

建物も見どころに

 旧清明文庫の建物を改装して2019年9月に開館した記念館は、1階と2階で常設展、1階奥で特別展を開いています。常設展は年4回、展示内容を変更しています。

 1階常設展は海舟の人生をたどるもので、幕府の役人として長崎で航海術を学んでいた当時の海舟宛の手紙、日本の船として初めて太平洋をアメリカまで渡った咸臨丸での航海の資料などが、現在は展示されています。

旧清明文庫を改装した勝海舟記念館。玄関上の高く垂直にそびえる柱はネオ・ゴシック様式、玄関の鉄扉の窓は幾何学模様のアール・デコ様式を組み合わせている

 館長の河内さんが「今回の展示で、とてもおすすめ」と話すのが、海舟が明治政府の儀式などで着た「大礼服」の再現です。これまでも展示されていましたが、肩に付ける装飾「肩章」がなかったのが、今回、完成して肩章付きでお披露目されています。河内さんは、「本来の姿が見られて、私も感動しました。過去に大礼服を見たことがある来場者の方にも喜んでもらっています」と、顔をほころばせます。

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