「海辺の鳥」なぜ内陸部へ イソヒヨドリの謎を追って〈2023年10月15日号〉

 岩場の海岸で繁殖するイソヒヨドリは、「海辺の鳥」と親しまれてきたのに、八王子などの内陸部に分布を広げており、野鳥研究者らを驚かせています。東京では近年、山地で生息していたオオタカなどの猛禽類やエナガなどの樹林性の鳥が平地や都心部へ分布を広げているのとは対照的です。「海辺の鳥」のなぞの動向について川内博さん(都市鳥研究会代表)に聞きました。

内陸部への分布の広がりが関係者を驚かせているイソヒヨドリ=川内さん提供

野鳥研究者 川内博さんに聞く

-イソヒヨドリの特徴的なことから紹介を

 この鳥はツグミ科の鳥で、大きさはスズメとハトの中間くらいです。オスは頭や背中、胸は青く腹の部分はれんが色のきれいな鳥(写真)です。漢字では、「磯鵯」と書き、磯(いそ)という岩場の多い海岸にいるヒヨドリに似た鳥という意味です。雑食性で、主食はフナムシやトカゲ、ヤモリなどの小動物や昆虫、木の実などですが、道に落ちているお菓子なども口にします。岩の隙間に枯れ草などでおわん型の巣をつくり繁殖します。繁殖期以外は単独で行動し、日本全土の海岸で見られます。青い羽根と美しいさえずりで昔から目立つ鳥でした。

八王子や日野でも

 -それがなぜ内陸部へと?

 近年、内陸部でその姿を見たり、さえずりを聞いたりすることが多くなりました。なかでも東京湾から50キロメートルも離れた丘陵地の八王子市では、隣接する日野市を含めた地域で、今年の繁殖期には50か所で繁殖が確認されています。

 営巣場所の多くは大型スーパーやマンション、橋などの人工建造物の隙間などですが、こうした建造物は、八王子に限って多いわけではありません。私の居住地の埼玉県和光市(東京湾から25㌔㍍の台地)でも駅前のビルで、また、山梨や群馬などの海なし県でも繁殖が確認されています。

 「海辺の鳥」と言われているのになぜかと調べたところ、イソヒヨドリにとっては「磯」が、生息に適した絶対的な場所ではなく「岩場の多い環境」が大好きなことがわかりました。森林が豊かな日本にまで分布を広げたとき、彼らの住む場所は磯しかなかったのではないでしょうか。研究当初、内陸部に分布を広げたのは彼らの好きな磯に似た人工の岩・コンクリート建造物が増えたためだと考えました。

なぜ八王子に?

 -この謎の解明は?

 日本全土にコンクリート建造物が増えたために、彼らが内陸部に分布を広げたということは、大筋では間違っていないと思われますが、いくつもの疑問符がつきます。まず、なぜ八王子なの?同じような街環境はいたるところにあり、突出して多い理由がわかりません。また、森林におおわれた紀伊半島の吉野山や高野山の山頂でも生息を確認しました。さらに、伊豆諸島の神津島ではかつては海辺にいたのが、今では島の中央の山頂まで分布を広げています。

 話は、自然の岩場「磯」から人工の岩場「コンクリート建造物」に生息場所が広がったという単純なことではないようです。

 イソヒヨドリの原産地はユーラシア大陸と考えられ、英名は、Blue Rock Thrush(青い岩ツグミ)」で、学名は「山で孤独に生きる住人」といった意味がつけられています。ヨーロッパでは山地に生息している鳥のようです。和光市では、郊外の道路沿いのコンクリート建物で3年連続繁殖しています。

 彼らはなぜ内陸部に分布を広げているのか、調べれば調べるほど謎は深まっていきます。

川内博さん

東京民報2023年10月15日号より

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