「就業規則の根幹揺らぐ」 厚生荘病院裁判 原告の主張棄却〈2023年12月24日号〉

 2021年12月末に建て替えを理由に閉院を強いられた、一般財団法人愛生会(湖山泰成理事長)が運営する厚生荘病院(多摩市和田)の職員約30人が原告となり、一方的にカットされた定期昇給の未払い金額を運営側に請求している裁判で、東京地裁立川支部(前田英子裁判長)は6日、原告の訴えを棄却する判決を下しました。

報告集会で判決内容に耳を傾ける原告と支援者=6日、立川市

 同病院では毎年、給与表に基づき、定期昇給を実施していましたが、運営側の就業規則変更により、2020年度に定期昇給を減額。翌年度は、実施しませんでした。

 厚生荘病院は1939年の設立以来、地域医療を支え続けてきた介護療養型医療施設。愛生会が2018年に湖山医療福祉グループ(本部・中央区)の傘下になると、就業規則の変更が強行され、不正な経費支出やパワハラ・セクハラが問題となり、職員が大量に退職しました。

明らかに不当

 裁判で原告は、就業規則の変更は労働契約法10条(使用者による就業規則の変更に関する規定)に反すること、定期昇給の実施は労使慣行(労働者と使用者の間で長期間にわたり反復・継続して行われている事実上のルール)が成立していることなどを主張。2008年3月に被告との間で締結した、「賃金・労働条件の変更については、労使で事前に協議し、労使合意の上で協定し変更することとする」と定めた協定書に、違反していることも訴えました。

 閉廷後の報告集会で、大井淳平弁護士が判決内容を説明。裁判の争点、①給与表の就業規則性が認められるか②給与表に基づく定期昇給の実施が労使慣行となっていたか③(労使慣行が認められた場合)就業規則の不利益変更の有効性④不当労働行為(支配介入)の成否⑤未払い賃金、または損害の有無、および額-について、判決の矛盾点などを解説しました。

 大井弁護士は、「判断してもらいたい主張はまったくされず、肩透かしの判決」と発言。定期昇給は基本給に関わる部分であり、「(使用者が)勝手に変えてよいというのは、明らかに不当。労働基準法、労働契約法の趣旨に反している」と、判断の問題点を突きました。

 給与表について、被告が労基署(労働基準監督署)に届け出ていないことから、裁判所は就業規則と認めませんでした。大井弁護士は、「使用者側がサボっていたらルールではないということになる」と指摘。最後に、「判断から逃げた印象」と、判決を批判しました。

 原告で同病院労働組合の吉田千代執行委員長は、「就業規則が経営者の意向で変えられてしまうのなら、労働者はどのように働けばよいのか。何のためのルールなのか、根幹を揺るがすような判決だ」と、怒りを抑えながら語りました。

 原告は判決を不服とし、控訴する構えです。

東京民報2023年12月24日号より

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