【街角の小さな旅】 国立西洋美術館と上野のお山 返還された美術品と数々のモニュメント〈2026年1月11日号〉

 国立西洋美術館は上野駅公園口の目の前にあります。同美術館は戦前造船業を経営していた実業家・松方幸次郎が私財を投じてヨーロッパ各地で蒐集しゅうしゅうしたのちに松方コレクションと呼ばれることとなった絵画、彫刻などの美術品を展示する目的で1959年に開設されたもので、現在はその松方コレクションを核に、その後寄贈された美術品や独自に蒐集した美術品を常設展示しています。

ロダン・考える人と国立西洋美術館

 松方コレクションは、一時は西洋絵画3000点、浮世絵8000点を超えるものとなっていましたが、西洋画は多くが散逸。同館に収蔵されている美術品は第2次世界大戦で「敵性国」としてフランス国に没取されていた美術品のうち戦後、寄贈返還されたもの(370点)。印象派の絵画およびロダンの彫刻を中心とするフランス美術の逸品です。

 建物は返還にあたってフランスが条件とした松方コレクション専用の美術館として建設されたもので、19世紀以前の伝統的な様式建築を批判し、近代社会の求めに応じた新しい建築をめざした「近代建築運動」の提唱者であったル・コルビュジエが設計。コルビュジエが提唱した「近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面〈ファサード〉)」の理念に基づいて設計されており、コレクションの増加に伴い建物も渦巻き状に増築するという理念にもとづく「無限発展美術館」として設計されました。

 ビジターは1階の吹き抜けのピロティ式のエントランスからゆるやかなスロープで彫刻作品を眺めながら、14世紀から18世紀の絵画が並ぶ2階の回廊にすすみます。現在は、前川國男設計の新館が併設されており、松方コレクションのゴーガンやセザンヌ、ピサロなどの印象派と近代の美術品が展示されています。

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