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有料WEB紙面版 5月22日号
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【1面】
- 「憲法が希望」語り広げ 山添拓参院議員 動画シリーズが10万超再生
- ハンセン病資料館 都労委が「職場復帰」命令
- 新型コロナ感染 都内の状況
- コラム・一分
【2面】
- 工事の大幅遅延、説明を リニア中央新幹線 山添氏ら国交省に聞き取り
- 多摩北部医療センター 安心してかかれる病院に 改築へ、良くする会が要請
- 都独自の経済対策を 共産党都議団 物価高騰で申し入れ
- 都がパートナーシップ宣誓制度 11月から運用へ
- 中野区長選に酒井氏/区議補選に広川氏/反共デマやめよ 中野地区委が声明
- 「選挙に行こう」保団連がムービー募集
- コラム【教室の風】宿泊行事の3日間
- フラッシュ@T
【3面】
- 精神病院が連携し人権侵害 引きこもり引き出し屋
- 戦争惨禍知らせる努力を 平和祈念館 すすめる会が記者会見
- 【連載コラム】憲法の推薦状⑧ 前文の決意、今こそ
- とうきょう人 東京民報4 面で「アンネフランクを訪ねて」を連載する
- 東京民報 新年号にあたごくらぶ賞「政治について縦横に」
- 街角情報
- まちがいさがしポカポ家族 とうきょうクロスワード 詰碁・詰将棋 問題と前回の解答
【4面】
- 読書 今月の本棚と話題
- フラヌ~ル遊歩者通信 その34 ヤマブキ
- パシャ
- みんなの広場
- 漫画「ママはギャルママ」
◆テキスト版◆
以下に、各面のトップ記事などを一部、テキスト版で公開しています。
1面「憲法が希望」語り広げ 山添拓参院議員 動画シリーズが10万超再生
「憲法は権力者を縛ることで、人々が自由になるためのルールです」―日本共産党参院議員で、夏の参院選で改選を迎える山添拓さん(東京選挙区)が、憲法を分かりやすく伝える動画が、シリーズ累計で10万回を超える再生となっています。弁護士として「憲法が希望」をスローガンに掲げる山添さん。SNS(交流サイト)で韓国音楽のファンが、山添さんを呼んだ憲法カフェを開く動きも出るなど、さまざまな場で、憲法の価値を語り広げています。
韓国音楽ファンの企画も
動画は、「憲法ってなあに?」のタイトルで10本立て。2日に1本ほどのペースで、ツイッター(短文投稿サイト)とインスタグラム(画像投稿サイト)に公開しており、現在は5回目まで公開しています。気軽に見られるよう各回1分ほどの短さで、ツイッターだけでも各回2万~4万の再生数になっています。
1回目のテーマは「そもそも憲法って?」。山添さんが、「かつては法の支配ではなく、人の支配で、王様や殿様が重い税金や年貢を勝手にかけた」として、憲法という「権力者を縛るルール」ができた経緯を解説しています。
また、第三回の「基本的人権って?」の回では、「人権は空気のようなもの」と語り、「脅かされた時に、初めてその大事さがわかる」と紹介。「私たちが基本的人権を日々感じる、ということはないほうがいいですね」と、分かりやすく人権の持つ意味を語っています。
動画作成のきっかけは、環境アクティビストで、東京民報1月合併号で山添さんと対談した、eriさんとの懇談で「若い人たちに伝わる言葉で、憲法のそもそも論がわかる動画ができたら」という話が出たことでした。eriさんは著名なヴィンテージショップ(古着屋)を経営し、インスタグラムは8万人以上がフォローしています。
「推し議員」と反響
eriさんと協力して撮影した動画は、伝わりやすくする工夫が多く込められています。山添さんは普段着で、椅子や机ではなく、床に座って語り掛けます。堅苦しい雰囲気にせず、親しみやすくしようというものです。
eriさんは、インタビュアーで動画には登場しないものの、自身のインスタグラムで撮影を振り返り「(山添さんの)受け答えが惚れ惚れする。台本なぞなくて一発どりなんだけど、端的でわかりやすい説明の中に、ハッと目が醒めるような、短いけど温度の高い文句を織り交ぜてくる。こんな人が、国政に必要だ。山添さんという存在に感謝」と投稿しています。
参院選を前に、山添さんとともに憲法を語ろうという動きが、幅広い人たちから起きています。
その一つが、韓国のポピュラー音楽「K‐POP」のファンたちが、山添さんを「スペシャルゲスト」に、憲法について語ろうという企画です(17日午後8時~)。
主催するのは「ポリカペ Kポペンによる政治カフェ」。今年初めから、ツイッターのライブ機能「スペース」を使って、憲法や政治について語る企画などを開いており、ツイッターのアカウントで「『政治についてみんなで話そう』という目的のもとに集まったK-POPファンの有志」と説明しています。
「山添拓さんと憲法ゆるカフェ」と題した開催の告知を受け、メンバーなどから「ついに!」「山添議員は推し議員」「なんだかすごいことになってきた」などの反響が寄せられています。
山添さんを応援する市民勝手連のYAMA部も、参加者からの提案をきっかけに、山添さんとゲストによる「憲法カフェ」を、5月まで3回、ネット上で開いてきました。
危険な自民改憲案
夏の参院選では、自民党など改憲勢力が、衆院に続いて参院でも3分の2の議席を得ようとねらい、憲法が選挙戦の熱い焦点になっています。
14日には日本共産党都委員会のネット企画として「憲法と日本共産党を語る~徹底批判 自民党改憲案」が開かれ、山添さんと、しんぶん赤旗の中祖寅一政治部長が斉藤まりこ都議の司会で語り合いました。
2012年に自民党がまとめた改憲案について、中祖さんは「現在の憲法99条は、公務員などに憲法尊重の義務を定めているが、国民は入っていない。他方、自民党の改憲案は『すべての国民』に憲法尊重を求めている。(権力者を縛る)憲法が憲法でなくなる」と批判しました。
山添さんは憲法審査会での論戦を紹介し、「自民党は現在は改憲を4項目に絞ったとしているが、12年改憲案を撤回していない。最終的にはこの中身を狙っている」と強調。「憲法を全面的に生かした政治でこそ、私たちの願いを前に進めることができる」と訴えました。
*動画はこちらから視聴できます*
2面 工事の大幅遅延、説明を リニア中央新幹線 山添氏ら国交省に聞き取り
JR東海のリニア中央新幹線(品川―名古屋)事業をめぐり、昨年10月14日から北品川工区(品川区)で「調査掘進」という名で進められている地下40㍍以深の大深度地下を巨大なシールドマシン(掘削機)で掘るトンネル工事の進捗状況について、品川区や大田区、世田谷区などの関係住民と日本共産党の山添拓参院議員は10日、衆議院第一議員会館で国土交通省に聞き取りました。
JR東海が昨年8月下旬から住民に対して行ったシールド掘進工事説明会では、今年3月末頃までに本掘進前の調査掘進を、北品川非常口の立坑から300㍍にわたり実施する予定でした。3月30日に更新されたJR東海の公式ホームページ「シールド掘進工事(調査掘進)の進捗状況」によると、50㍍程でとどまっている状況が判明。発進作業の着手から半年以上経過したのに、計画の6分の1しか進んでいない理由に関する質問がメーンになりました。
国交省の担当者は、「現在はシールドマシンの後ろに、運転操作室などを載せた台車を連結する作業を行っている。併せて、シールドマシンの点検を実施していると聞いている」と回答。リニア中央新幹線として初のシールドトンネル工事であることから、「丁寧に確認をしながら慎重に掘進を進めている」という説明にとどまりました。
山添氏が「(スケジュール通りに行われていないのは)想定外の事情が生じているわけではないのか」とただすも、国交省は同じ答弁を繰り返すばかりでした。
住民に募る不信感
大深度地下のシールドトンネル工事は、NEXCO東日本が進める東京外かく環状道路の工事でも採用されており、2020年10月に調布市の住宅街で陥没事故が発生。今年4月には練馬区の大泉ジャンクション付近でシールドマシンと鋼製地中壁の接触事故が起き、マシンの部品損傷により工事が停止。工事への信頼性が大きく揺らいでいます。
参加者からは「50㍍は誤差の範囲ではない。何か不都合なことが起こっているとしか思えない」「答弁を聞くと不信感が募るばかり」「リニア事業を認可した監督省庁として、責任感を持ってほしい」など、憤りの声が噴出。「現段階で住民に説明会を開くべき」と強く求めました。
日本共産党の品川区議団から、のだて稔史区議が調査掘進で確認された地盤・構造物の変異、振動、地下水などへの影響を表す指標、家屋調査の申し出と実施件数の提示を要求。国交省側は具体的な指標を把握しておらず、北品川工区における家屋調査への協力依頼の案内は、北非常口に近いエリアから品川区戸越6丁目付近まで、沿線ルート上にあたる「約900軒にチラシを入れている」とだけ答えました。
山添氏は「調査掘進の段階ですらこういう状況。本掘進が始まり、何か起こったときは国交省も含めて責任問題になる。もっと重く受け止めるべき」と訴えました。
リニアから住環境を守る田園調布住民の会(三木一彦代表)は今回の聞き取りに先立ち、今月1日に調査掘進の大幅な遅延に関わる住民説明会を求める要望書をJR東海に提出。20日までの回答を求めています。
3面 精神病院が連携し人権侵害 引きこもり引き出し屋
80代の親が自宅に引きこもる50代の子どもを経済的・精神的に支え、疲弊していく〝8050問題〟が社会問題として注目を集めています。行く末を案ずる親に「短期間で更生、社会復帰させる」と、高額な費用を徴収する〝引き出し屋〟と言われる事業者の被害が後を絶ちません。「あけぼのばし自立支援センター」(自立支援センター)と運営元の㈱クリアアンサー(2019年、自己破産)の被害を受けた30代男性に強制入院の不当性を問う裁判について聞きました。
被害男性 違法性認定求め裁判
男性によると2018年5月、自宅から自立支援センターの職員らによって暴力的に連れ出され、そのまま車で新宿区内の施設に移動後に地下部屋に軟禁。のちに精神病院である医療社団法人成仁の成仁病院(足立区)に本人の意思を無視した形で入院させられ、身体拘束などを受けます。施設に戻った後、脱出し弁護団に保護されました。
男性が自立支援センターに損害賠償を求める裁判で、東京地裁(伊藤繁裁判長)は3月25日、慰謝料など110万円の支払いを命じました。判決では▽自宅から無理やり男性を車に押し込め、新宿区内の施設に移送したこと▽8日間、新宿区内の施設の地下部屋に軟禁状態に置いたこと▽自立支援センター(会社)が男性の医療情報を取得したこと―を不法行為と認定しました。
男性は成仁病院を相手に、「強制入院は不当」だとして民事訴訟で争っています。男性は自立支援センター内では「いうことを聞かないと病院に入れる」と思わせる職員の発言があったとして、自立支援センターと成仁病院が連携していた可能性を指摘。男性は「自立支援センター内で職員の指示に従わない場合に懲罰的に入院をさせた」と語ります。
その際は本人の同意が必要とされない〝医療保護入院〟として扱われ、強制的に入院させられたことがカルテによって明らかになっています。
電子カルテに修正の不自然
医療保護入院は精神保健法第33条によって要件が定められています(表)。男性は自身の入院を、精神保健指定医の指示ではなく、担当医の入院指示であり、法に反し社会的に許されないと訴えます。病院は「指定医は同席し、指示していた」と主張し、争いになっています。
電子カルテの入力情報によると指定医の診察記録が指定医の管理番号ではなく、診察を行った担当医の番号になっていましたが、後に修正されるなどの不自然な状況があると男性は主張します。
さらに裁判で「自立支援センターと病院が密に連携して、利用者の人権侵害が行われていた。自立支援センターの裁判では自分の医療情報が成仁病院からセンターに提供されたことが違法行為とされた。正しい司法判断を期待します」と語りました。
適切な判断か疑問
裁判所に意見書を提出した 竹内真弓医師
電子カルテは改ざんが出来ないようにパスワードがかけてあります。そのまま忘れて放置したなどということがないように、相互に注意声掛けなど職員へも教育をするなど管理者は留意しているものです。
また、強い人権侵害を行うという重要な決定にあたる医療保護入院には、患者の状態に対する記述はその決定を行うにふさわしい根拠となる症状が記されるべきです。本来は時系列に処置や状態がわかるように記すのが望ましいです。医療保護入院の判断が適切に行われたのか疑問が残り、精神保健福祉法19条4の2の義務が果たされたとは評価しがたいと感じました。(代々木病院精神科科長)
4面 読書 今月の本棚と話題
奇跡が生んだ「明治神宮の森」
『100さいの森』松岡達英 著/伊藤弥寿彦 監修
「どうしてこんなに大きな森が東京の真ん中にあるの?」「この森は人の手でつくりあげたんだよ」「そんなことできるの?」―ヤマガラたちがそんなおしゃべりをしながら飛んでいると100歳を超えるスダジイの木が「わたしは100年前まだ子どもの木だった。ここに森を作ることになって、わたしは荷車で運ばれてきた。全国各地からいろいろな種類の木が運ばれてきた。そして一本一本植えられた。たいへんな仕事だったよ」と語りはじめました。
成長の早い広葉樹が大きくなると、日が当たらなくなった針葉樹は次々と倒れていき、そこに日当たりのいい空間ができ、やがて広葉樹の幼木が育つ。倒れた木々は森の栄養となる。根本の落ち葉やカブトムシ、ダンゴムシやキノコたち、すべてが木々たちの栄養になる。「ぞっとすることもあった。人間たちの始めた戦争で火の海になった。でもこの森は燃えなかった。森が作られて100年、これからもっと1000年も続くといいね」
この絵本は今まさに再開発の危機にある「神宮の森」の物語です。明治45年(1912年)、明治天皇が死去されると人々の声にも押され、天皇を祭神とする神社を創建することになり、神社といえば「鎮守の森」が欠かせません。
3人の学者たち(本多静六とその弟子・本郷高徳、上原敬二)が目指したのは、人が手をかけずとも延々と世代をつなげていく森、太古の原生林でした。そのためには膨大な木々が必要で、国民に寄付を募ると10万本もの樹木が集まり、さらに植樹作業に関わりたいと全国から11万人もの青年団が集結、6年の歳月をかけて完成しました。
そして100年の歳月が流れ「記念事業」として2020年、森の生き物全般にわたる科学調査も行われ、約3000種の生物が記録されたということです。森は3人の学者たちの予想どおり太古の森に近い姿になっていたのでした。
日本中から集められた10万本の樹木、11万人の協力者。さらに100年後の調査。「こんなことができる場所は世界中どこにもありません」とは監修者、伊藤弥寿彦氏の言葉です。
(なかしまのぶこ 元図書館員)
講談社 2020年
2200円(税込)
まつおか・たつひで
1944年新潟県長岡市生まれ。世界各地を自然観察し、絵本から科学絵本、図鑑、ノンフィクションまで多数の著書を出版
新資料で真実の姿を描く
『生誕一三〇年・没後九五年 時代を拓く芥川龍之介』
関口安義 著
芥川龍之介は、「羅生門」など教科書にも登場しており、日本だけでなく海外でもよく知られた作家です。今年2022年は、生誕130年、没後95年になります。
本書は、その芥川研究の第一人者の著者が、近年発見された友人の日記、書簡などの新資料にもとづき、変遷する芥川の姿を見事に描き出しています。
芥川というと、これまで「孤独で陰鬱な作家、政治や社会に無関心」な作家というイメージがありましたが、新資料の発見は、それを否定し、「時代と社会を絶えずプロテスト(反抗)した作家、新世紀に輝く世界文学の作家」というとらえ方を可能としました。
著者は、新資料から芥川龍之介は時代の証言者、時代を拓く人であったと証明してみせます。
芥川龍之介は1921年、大阪毎日新聞社の海外特派員として中国視察旅行に出かけます。
芥川は、蘇州の天平山白雲寺の落書きに驚き、それをメモして『支那游記』にさりげなく取り入れました。
そのメモとは「諸君爾快活の時に在り、三七二十一条を忘了すべからず 犬と日奴壁に題することを得ず」でした。
日本が中国に不当な要求を押しつけた二十一カ条が中国人の誇りを傷つけたのです。芥川はそこに中国人の帝国主義日本への抵抗を読み取ったのです。
また関東大震災の時のことを書いた「或自警団員の言葉」には、朝鮮人を虐殺したことに対して「況や殺戮を喜ぶなどは」と自警団への痛烈な批判をしているのです。
著者の研究は、過去の否定的芥川論を乗り越え、芥川の新しい積極的な姿を現代によみがえらせたのです。
失恋体験と結びついているという「羅生門」について、「反逆の論理」としての新解釈、恒藤恭、矢内原忠雄、成瀬正一といった芥川の「知られざる仲間の記録」を通じての芥川の真実の姿に迫る研究など、読み応えがあります。
改めて芥川作品を読みたくなりました。
(柏木新・話芸史研究家)
新日本出版社 2022年
1870円(税込)
せきぐち・やすよし
1935年埼玉県生まれ。都留文科大学名誉教授、文学博士。芥川龍之介関係の研究書多数
ラクに壁超え寿命伸ばす
『80歳の壁』
和田秀樹 著
日本人女性の平均寿命が80歳を超えたのは1990年です。そして2020年のそれは87.74歳で90歳に近づいています。1950年の女性の平均寿命は61.5で、この70年間に25年ものびたことになります。
さらに「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、2019年で女性75.39歳となっています。これは世界トップレベルであり、日本の高齢化は歴史上未知の世界に入り、どの国も経験した事のない超絶高齢化社会に突入していくことになります。
65歳の「定年」まで企業で働いたとしても、退職後20年以上も「老後の期間」があります。20年は計画的に行えば一仕事できる時間でもあります。実はこの20年近くを「どう生きるか」というテーマを正面から取り上げたものは多くはありません。高齢者の医療・保健や介護、年金等についての議論はかまびすしくありますが、どれも「大変だ!大変だ!」という議論ばかりです。
しかし、高齢者の多くは元気でやる気があるのです。しかも長年培った知恵があります。この高齢者のパワーを社会に生かさない手はありません。この点で、この本は、「80歳の壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っています」と積極的にとらえます。
本書には逆説・開き直りではないかと思えるような見出しが躍ります。80歳近くなったら「嫌なことを我慢せず、好きなことだけすること」「医療に頼るなかれ」「食べたいものを食べてもいい。お酒も飲んでいい」等々です。病気を発見しその克服のためストイックな節制の生活をする方がストレスが多く、長生きの妨げになるという主張です。「闘病よりも共病」という考えです。
著書は、有名な高齢者施設の顧問医で老年医学を専門とする精神科医です。ですので、この本は、多くの事例・経験の上に立つ実証的な考えです。あからさまには書いてはいませんが、現在の高齢者医療への根本的な批判を感じます。世界で初めての超絶高齢社会にあって、医療との付き合い方も新しい在り方が必要になっていることを強く感じさせてくれる本です。
(松原定雄・ライター)
幻冬舎 2022年
941円(税込)
わだ・ひでき
1960年、大阪府生まれ。精神科医。高齢者専門の精神科医。高齢者専門の精神科医として30年以上、高齢者医療の現場に携わっている












