【書評】隣国の歴史を知ってこそ 『朝鮮半島を日本が領土とした時代』糟谷憲一 著〈2020年11月15日号より〉

 2018年10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)は徴用工訴訟で新日鉄住金に対し、韓国人4人への損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

 この判決をめぐって日本では韓国バッシングの大波が起きました。マスメディアでは、連日のように韓国に対する批判や、やゆする論調が展開され、嫌韓気分を増長する異常なキャンペーンが行われました。その影響はいまだになくなっておらず、なかには日本の「韓国併合」を美化する議論さえ展開されています。

 そうした論調が平気でまかりとおり、影響されてしまうのはなぜでしょうか。著者は「あとがき」で、「植民地支配を肯定・弁護する議論がいまだにくり返されるのは、日本がどのように朝鮮を植民地としたのか、どのように朝鮮を支配したのか、がよく知られていないことが一因である」と指摘しています。

 本書を読むと朝鮮半島を日本が領土とした時代の歴史がよくわかります。19世紀半ばからの朝鮮の開国・開化と日本の朝鮮侵略の政策、日本の植民地支配下の朝鮮の歴史、植民地支配清算の課題を丁寧に描いています。

新日本出版社 1980円(税込み) かすや・けんいち 1949年生まれ。東京大学卒。一橋大学名誉教授

 近現代の朝鮮の歴史は帝国主義の諸外国によって翻弄ほんろうされてきた時代であり、特に日本がさまざまな悲劇を生みだしてきたことがよくわかります。そこから徴用工問題も、元日本軍「慰安婦」問題も、「韓国併合」の問題もどう考えたら良いのかの答えが見えてきます。

 著者はその日本の犯罪的行為を声高かでなく、朝鮮史研究50年の歴史学者としての冷静な眼で、真実を語ることによって告発しています。それだけに日本が起こした行為の深刻さがより切実に伝わってきます。

 本書を読み、「隣国の歴史を知ってこそ」の重要性を痛感するとともに、朝鮮半島で日本が行った侵略行為の反省の上に立ってこそ、日韓両国の真の平和的関係を築くことができるとの確信をいっそう深めました。(柏木新・話芸史研究家)

(東京民報2020年11月15日号より)

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