全国一般労組 東京美々卯分会 解雇撤回求め裁判たたかう〈2021年4月11日号〉

美味しく食べて争議支援

 調理場のドアを開けると豊かでコクのある香りが胃袋を揺さぶります。日本の食文化、懐かしく感じる出汁だしの香りです。一方的な閉店による解雇無効裁判をたたかう全労連・全国一般労働組合東京美々卯分会(東京美々卯分会)がとりくむ“宅配うどんすきカンパ”の仕込み現場では、週末に向けて宅配で一流の味を家庭に届けようと大忙しです。

てきぱきと具材を詰める昆野分会長=中央区

 「自分たちのつくった物を食べて欲しいじゃないですか。営業当時、年末のかきいれ時には5000食分を仕込みました。20年以上もつくってきました」と、微笑む東京美々卯分会の昆野恭久・分会長。休む間もなく手を動かす分会メンバーもうなずきます。海や山の幸など豊富な具材が下処理された上できれいに箱詰めされます。鍋に入れて火にかければ、すぐに食べられる、“宅配うどんすきカンパ”です。

 組合員は朝から三々五々、集合。誰に指示されることもなく、自然と炊物の味見や薬味の準備など、あうんの呼吸で次々と手を動かし始めます。「長年やってきたからね」とはにかみますが、一朝一夕にできることではなく長年に渡る修行と経験の成果です。

 具材はあらかじめ下味をつけて炊くことで傷みにくくしています。この季節のにんじんは桜の形。四季折々で梅の花や日の出など、型抜きではなく包丁1本で鮮やかに形作られていきます。

 食材の話になると組合員の目が輝きます。夏場のそばやはもの骨切の手間など、関西の食文化を東京に根付かせてきた歴史の知識も豊富です。

 また料理だけでなく、接客も一流を目指して精進してきました。

 出汁の味は「自分の舌だけだと狂うこともあるから、濃度計で塩味も図るんですよ」と組合員。感覚だけではなく科学的に裏付けられた味を先輩から受け継ぎ、後輩へ伝える丁寧な仕事が感じられます。

 基本になる出汁はかつお。かつおぶし工場に削る厚さまで細かく指定したものを使用し、2時間かけて出汁を引きます。「2時間も出汁を引くところはなかなかない」と組合員も話します。

 その他の食材にも細心の注意を払い、生産者の顔が見える仕入れをしてきました。「東京美々卯では毎年、最高の食材を決まった量、言い値で買い取りました。三代にわたる取引もありました。閉店による連鎖倒産も起きています」と組合員たちは顔を曇らせます。

 宅配うどんすきカンパは、多くの人の善意に支えられ、昨年末は大盛況。今回は4月から5月末まで、週末到着の宅配で取り組んでいます。

名前の彫られた包丁を使用前にとぎていねいに具材をきざむ
出汁をひくのも時間をかけて

コロナ禍の下放り出されて

 200年の歴史ある「うどんすきの名店、美々卯」は、馴染み客に惜しまれつつ、新型コロナの影響を理由に昨年5月、東京美々卯傘下の関東6店舗を閉店。従業員200人を解雇しました。従業員が「お店を辞めないでね」という馴染み客の言葉を励みに奮闘したにもかかわらずコロナ禍の下、放り出されたのです。

 現在、東京美々卯分会は東京地裁で解雇無効の裁判の他、未払い残業代など複数の裁判をたたかっています。宅配うどんすきカンパはこうした労働争議を支えています。

 東京美々卯は大阪美々卯からのれん分けをする形で独立。大阪美々卯の薩摩和男社長がオーナーである「美々卯ホールディングス」が京橋店の土地建物を所有し、経営を圧迫するほどの賃借料や技術指導料を支払ってきました。実質的に美々卯ホールディングスの傘下にあり、人事権はもちろん銀行からの借り入れさえも大阪の許可が必要とされ、裁量権は限定されていました。また東京美々卯の従業員に直接意見することも少なくありませんでした。

 さらに労働組合を敵視する薩摩氏に東京美々卯の経営陣が「某団体(全国一般)と手を引かないと薩摩さんは助けてくれないよ」と“組合脱退届”を集めて持参したり、組合事務所(ロッカー)を破棄するなどの違法行為も明らかになっています。薩摩氏のワンマン経営であったことがうかがい知れます。薩摩氏から、うどんすきカンパをやめるよう警告書を送り付けられるなどの行為がありました。

 「仕事のために、時には家庭を犠牲にするような働き方もあった」と言う組合員。東京美々卯の店長・次長らは有給休暇どころか公休も取れず、サービス残業は月200時間超にも及びました。ある組合員は「それでも美々卯が好きだから頑張れた。妻との出会いもあったし、感謝していた。まさか会社がなくなるとは思っていなかった。一生懸命にやってきたのに裏切られた気持ちだ。東京美々卯の役員とは『店を残したい』との気持ちは同じだと思っていたのに残念」と唇をかみしめます。

 営業再開をめざし、争議をたたかう組合員は妻子ある父親でもあります。「子どもには食べさせなくちゃいけないし、ボロを着せるわけにはいかない」とも話します。それぞれ小・中・高・大学と子育てにお金が必要な時期であり、解決が急務です。

 冷房の中で本格的な味を美味しく堪能して、争議の支援はいかがでしょうか。

東京民報2021年4月11日号より

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