読書 今月の本棚と話題*『女性のいない民主主義』 前田健太郎 著〈2021年4月18日号〉

規範が強制する不平等

岩波新書 2019年
820円+税
まえだ・けんたろう 1980年、東京都生まれ。首都大学東京准教授を経て、東京大学大学院法学政治学研究科准教授

 世界経済フォーラムが3月31日に発表した世界のジェンダーギャップ指数(男女平等の度合い)のランキングで、日本は156カ国中の120位でした。この指数は、経済・教育・医療・政治の4分野14項目で評価されています。日本は政治が147位、経済が117位でこの2つの分野の低迷が大きく影響しています。国内的には、ジェンダーに関連した森喜朗元首相による発言などジェンダーギャップは社会的関心の高い問題となっています。

 この本は、政治学者の著者が「なぜ、民主国家であるはずの日本で、男性の支配が行われているのか」という素朴な疑問から出発し、政治学の定説を「ジェンダーの視点から見てみる」作業をまとめたものです。

 今日の日本では、男女は法的には平等でも、実質的には不平等なのではないか。何が男性支配をもたらしているのか。これに対する答えは政治学の教科書にはありません。「謎」なのです。この謎を解くために、政治学にジェンダーの視点を導入する必要があると主張します。

 制度上は平等な権利を与えられていても、男性と女性の間に権力関係が生まれ、男性が女性に対して優位に立つ。法律による公式の制度とは別に社会の中に目に見えないルールが存在します。「男性は男らしく、女性は女らしくなければならない」この社会のルールを著者は「ジェンダー規範」として提示します。

 ジェンダー規範は、社会の暗黙の合意として一人一人を強制していきます。「男は仕事、女は家庭」といった規範を、経済的仕組みや人の感情までも通じて強制し、さらには規範に逸脱した人には無視・仲間はずれといった黙示的な制裁から、身体的暴力等の明示的な制裁まで行われます。

 ジェンダーの視点からこれまでの通説を問い直す試みとして作者は、①政治とはなにか②民主主義とはなにか③政策・福祉国家は誰のためのものか④誰がどのように「政治家」になるのか―といった点にジェンダーの視点から検討を加えています。この結果浮かび上がってくるのはこれまでの見えなかった男女の不平等の姿です。(松原定雄・フリーライター)

東京民報2021年4月18日号より

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