東京駅丸の内南口。その目の前に、東京大学総合研究博物館が収蔵する地球と人類の歴史を語る資料を展示するインターメディアテク(IMT)があります。IMTは東京大学総合研究博物館と日本郵便(株)が協働で運営するもので、旧東京中央郵便局舎、現「KITTE丸の内」の2・3階にあります。

旧東京中央郵便局舎は1933年建設。「無意味なる装飾を省き、純白の壁面と純黒の枠を持つ大枠との対照」(東京中央郵便局沿革史草稿)を意図したファサード(建物前面)が特徴で、「洋風建築の極致とも言える東京駅の姿とは実に対照的」「当時としては機能、構造、デザインとも世界最高水準の超近代的なビル」(同)とされ、ドイツの著名な建築家ブルーノ・タウトがモダニズム建築の傑作とたたえました。
さらに1999年には近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織DOCOMOMOから日本の近代建築20選に選ばれています。
この歴史的遺産であるビルが、石原都政のもとで丸の内再開発にのみ込まれ消滅の危機を迎えましたが、日本建築学会や日本建築家協会が保存を求めて立ちあがり、国会でもとりあげられるなかで、当初の5階建てビルの原型と外装が保存されることになったものです。
骨格標本から被爆標本まで
IMTは、東京大学が1877年の開学以来、収集、蓄積してきた350万点を超える鉱物、植物、動物、古生物、地理、考古学など地球上のありとあらゆる分野の標本を保有する東京大学総合研究博物館の展示施設の一つです。2階のエントランスを入ると3階に上がる階段に40~50万年前に生息していたマチカネワニの骨格標本(レプリカ)が迎えてくれます。奥行66メートルもある展示室は、かつて郵便の仕分けや集配業務がおこなわれていた空間で、ミンククジラなどの現生動物や幻の絶滅巨鳥エピオルニスの骨格標本から世界最大の絶滅鳥モアの卵、日本にはじめて持ちこまれたメートル法の定規、関東大震災の被災後ベルギーから寄贈された巨大な地球儀、長崎浦上天主堂から回収した被爆標本「獅子頭」などまさにありとあらゆる分野のものが展示されています。太古から現代までの物言わぬ語り部たちです。
伝統的な大学の「教室」スタイルを復元した階段教室では、月1回の蓄音機による音楽会が開かれています。
IMTは入館無料です。「入館料収益に汲々とするのは、ミュージアム本来の姿ではありません」(西野嘉章館長)という考え方にもとづくもの。在宅でもYouTube(動画サイト)で館長などによるガイダンスを観ることができます。
4階には旧東京中央郵便局の局長室(無料休憩スペース)。黒枠の窓からは復元された煉瓦造りの東京駅舎が望めます。
お堀端を歩く
東京駅中央口からまっすぐすすむと旧江戸城の桔梗堀にでます。城の石垣を左に見てすすむと、江戸時代、大名が登城に使った大手門が見えてきます。この大手門をまっすぐ東にすすむと日本橋。東海道、奥州街道の起点にあたり徳川幕府にとって要害の門でした。大手門をくぐって天守台の石垣、松の廊下跡、櫓などかつての江戸城を訪ねることができます。

次に平川門。江戸城の創始・太田道灌の時代から門がありました。枡形門で、城門一式(高麗門・渡櫓門・木橋)残されているのはここだけ。竹橋につづく小さな帯曲輪門は死者を通す不浄門といわれ、江戸時代を通じて、生身で門から出されたのは、忠臣蔵の浅野内匠頭と大奥の絵島の二人だけでした。
竹橋事件で記憶される竹橋を渡って国立近代美術館。右手にあがって北の丸公園はけやきやコナラ、クヌギなど里山の雑木林がみどりの季節を迎えています。

離れて田安門と清水門は国重要文化財。

末延渥史
(東京民報2021年5月16日号より)












