東京美々卯「一方的な閉鎖は無効」 従業員 株主地位の確認訴訟〈11月21日号より〉

 200年の歴史あるうどんすきの名店「美々卯」の関東6店舗は昨年5月、新型コロナの影響を理由に突然、閉店し退職同意書にサインしない従業員100人余を解雇しました。この問題に関連して、全労連・全国一般東京地本一般労働組合美々卯分会(美々卯分会)と同組合員5人は事業閉鎖は無効などとする「株主地位確認訴訟」を11月2日、東京地裁に提起。厚労省内で記者会見を行いました。

 関東で美々卯を経営していたのは、大阪美々卯からのれん分けする形で独立した東京美々卯です。同社は無借金営業であり、突然の閉店・解雇に納得いく説明もありませんでした。現在、美々卯分会は営業の再開を求めて東京地裁での地位確認裁判、未払い残業代の請求裁判の他、東京都労働委員会(都労委)で、不当労働行為の救済を求めて争っています。

 今回の株主地位確認訴訟では閉店後、社員株を「紙くずになる」と説明して買い戻し、株主を同社役員だけにした上で株主総会を行い、事業閉鎖・会社の解散を決めたことなどに対する無効を求めています。

新橋駅前で営業再開を求めて訴える美々卯分会の組合員=5日、港区

 訴状には、①組合を結成した際に締結した労働協約には会社が従業員の労働条件に重大な影響を与える会社の解散、縮小、合併、事業閉鎖等を行う場合は、事前に組合に提案し、十分な説明と協議を行い、組合合意の上で行うと定められている②団体交渉において、労働協約の効力はないと決めつけ、すでに決まったこととして会社解散を通告した③美々卯分会の同意を要するのに、同意なく解散決議を強行した―などとして解散決議を無効としています。

 また、東京美々卯が解散決議に先立ち、社員から自社株を買い取ったことは「行うべき株主総会を開催しておらず、従業員は株主たる地位を保有し、必要な地位を有しているのに必要な手続きが行われなかった」として、株主の地位確認を求めています。東京美々卯が行った解雇、会社解散手続きの違法性が問われる裁判です。

 会見には原告の元従業員も参加。切実な胸の内を「子どももおり、貯金はなくなりつつある。会社の不誠実さは許せない」などと明かしました。

オーナーが実質支配

 東京美々卯の旗艦店の役割を担ってきたのは、本社機能も有する京橋店でした。土地建物は、大阪美々卯の薩摩和男社長がオーナーである「美々卯ホールディングス」が所有し、東京美々卯は賃借料の他、技術指導料を支払ってきました。実質的に美々卯ホールディングスの傘下であり人事権の他、銀行からの借り入れさえも大阪の許可が必要とされてきており、独自の裁量権は限定されていました。

 こうしたことから美々卯分会は、これまでも地裁や都労委で「東京美々卯を実質的に支配していた大阪美々卯の薩摩氏の意向が同社に大きく影響を与えてきた」と主張してきました。しかし、薩摩氏側は認めようとはせず、事態に進展はありません。

 原告らは仕入れ先の連鎖倒産にも心を痛めつつ、会社解散の真相を明らかにしようと奮闘しています。

(東京民報2021年11月21日号より)

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