上映の運動、津々浦々で 侵略反対の思い、若い世代に 伊藤千代子描く「わが青春つきるとも」に出演 嵐圭史さん〈4月24日号より〉

 日本の侵略戦争に反対して、人民主権や男女平等を求めてたたかい、治安維持法のもとで逮捕、拷問され、24歳で亡くなった戦前の日本共産党員、伊藤千代子の生涯を描く映画「わが青春つきるとも」が公開され、各地で上映が始まりました。出演者の一人でもある俳優の嵐圭史さんは、全国をまわり、若い人たちにこの映画をみてもらうための上映会を、と訴えています。

 ―公開された映画の感想を教えてください。

 桂壮三郎監督の見事な手腕で、まさに「映画を知り尽くした」方の作品です。一つひとつの場面の絵が揺るぎない。厳しい内容を描きながら、見終わった後は実にさわやか。まさに青春ドラマです。

 もう一つは、藤田廣登さんの原作(増補新版「時代の証言者 伊藤千代子」)が徹底的な調査で、実証的に千代子の生涯を明らかにした力を感じました。映画のシナリオも、生き残った人たちの手記や獄中記などをもとにしているからです。

 そして、出演者がみんな素晴らしい。どの出演者も、あの時代を生きて、監督の求めに応じてドラマの世界を作り上げています。

 日本共産党が100周年を迎える、その年に完成をみたこの映画は、奇跡といってよいかもしれません。

 しかも現在、ウクライナにロシアが侵略しています。日本の侵略戦争に、命懸けで反対した人たちがいたことを、多くの人に知ってもらう、絶好の映画でもあります。

「次の世代に、共産党の運動をつないでいくことにも大きな力を発揮する映画です」と話す圭史さん

シナリオにないシーン

 ―圭史さんの出演の経緯は。

 しんぶん赤旗で、伊藤千代子の映画の制作運動が北海道の苫小牧で立ち上がったという記事を読んだのがきっかけでした。苫小牧は、千代子の夫の浅野晃が、戦後、千代子との関わりを隠して、人生を過ごした場所です。

 私も何か協力をと、地元の方に連絡したら、桂監督からすぐに電話をいただきました。

 私は、出演は「通行人」でも構わないので、むしろ「勝手連」で、上映運動を広げるためのお力になりたいと監督に言ったんです。そうしたら、シナリオにはないワンシーンをつくってくれたんですよ、老人役で。ですから、あのシーンだけは史実ではありません(笑)が、映画出演も含めて協力でき、とても喜んでいます。

 ―今、千代子の映画を見てもらう意義をどう感じておられますか。

 私自身、この映画に関わるなかで、改めて学ばされたのが、大正デモクラシーの大きな力です。

 日本共産党が創設されるのが大正11年(1922年)で、中條百合子(後の宮本百合子)が中央公論に「貧しき人々の群れ」を発表するのがその6年も前です。このような作品を受け入れる読者層が、それだけいたということでしょう。

映画「わが青春つきるとも」監督・製作:桂壮三郎

 あの時代、民衆や人民といった言葉は、一般的に結構、馴染みのある言葉でした。私が長く在籍した前進座も、伊藤千代子獄死(昭和4年=1929年)の2年後、昭和6年に結成した際の綱領に「広範な民衆の進歩的要求に適合する演劇の創造に努力する」と書いています。

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