法案実現、次の国会で必ず 全国空襲連が院内集会〈2024年6月30日号〉
- 2024/7/1
- 平和
通常国会が事実上閉会を迎えた21日、太平洋戦争の民間空襲被害者に対する救済法の実現を目指す全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)は、衆院第一議員会館で集会「戦後79年 今こそ救済法実現を!」を開きました。政府は軍人や軍属、その遺族には、恩給や遺族年金として総額60兆円以上も支給していますが、民間の空襲被害者への補償は一切ありません。
集会には、超党派の国会議員連盟(空襲議連)のメンバーも参加。同議連は2020年、空襲等で身体障害や精神疾患を負った民間の生存者に対し、一人50万円の特別給付金を支給する案を承認。野党は賛成しましたが、自民党内での手続きが進まず、国会提出には至っていません。
昨年5月に北村誠吾議連会長が逝去し、法案化の動きは頓挫。今年4月、自民党の平沢勝栄衆院議員が会長に、同党の松島みどり衆院議員が会長代行兼事務局長に就任し、役員体制の再編成により、ようやく進展が見込まれました。
5月8日の衆院厚生労働委員会では、一般戦災者に対する補償について、武見敬三厚生労働相が「法改正をすれば、厚労省の所管になるだろう」と答弁。同議連のメンバーらは大きな前進と捉え、救済法の実現に向けて取り組みを続けています。
焦りと怒り
空襲連の共同代表で、東京大空襲・戦災資料センター館長の吉田裕氏は、いまだに救済法が実現しないことに「焦りと怒りがある」と、主催者を代表してあいさつ。軍人・軍属より民間人の命が軽く見られており、「この不均等を是正しない限り、戦後は終わらない」と静かに憤りました。
同議連の平沢会長は、今国会でも法案の提出が見送られたことに対し、「残念ながら結果が出なかった。厳しく反省する」と深謝。「もう時間がない。何としても次の臨時国会で解決できるよう、全力で取り組んでいきたい」と、決意を述べました。
松島会長代行兼事務局長は、「戦争の責任」や「補償」という言葉を使用すると法律化が難しくなると説明。「お見舞い」の証として、被害者本人に限り、50万円の特別給付金を支給する大綱の作成中であることを報告しました。
空襲連の運営委員長で弁護士の黒岩哲彦氏が、前日に開かれた同議連の役員会について報告。「これまで厚労省は一切何もやりませんと入り口で拒否していたが、中身に踏み込んだ議論を始めた」と希望を伝えました。
最後まで見届ける
6歳の時に空襲で左足を失った安野輝子さんは、「大阪空襲訴訟を伝える会」でともに活動してきた仲間の写真を手に、大阪府堺市から参加。「みんな法案の成立を望んでいます。最後まで見届けたい」と語りました。
会場からの発言で瑞慶山茂弁護士は、同議連がまとめている要綱案の空襲定義について、「1941年12月8日から1945年9月7日まで」と決められていた期間が、「9月2日まで」に短縮されたことに言及。沖縄戦が終結した降伏調印の日は9月7日であり、「とても納得ができない。日本の歴史的な問題」だと、合理的な説明を求める場面がありました。
日本共産党からは、笠井亮、宮本徹の両衆院議員、吉良よし子、山添拓の両参院議員が出席。それぞれマイクを握り、連帯のあいさつを述べました。
東京民報2024年6月30日号より