日本IBM AI不当労働行為が和解 労組に評価項目など開示へ〈2024年8月11・18日合併号〉

 IT大手のIBMの日本法人である日本IBMが賃金査定に自社開発のAI(人工知能)ワトソンを用いると2019年に発表し、日本金属製造情報通信労働組合(JMITU)日本IBM支部がAIに考慮させる項目などについて団体交渉を要求し拒否されたことについて、東京都労働委員会に救済を申し立てていた問題で1日に和解が成立したとして記者会見が開かれました。

 同社は、AIの利用について従業員に向けて社内の連絡システムの動画のリンクで告知。同支部は「一切の資料がない」として動画をコマ送りし確認したが、わかりにくかったとしています。

 会見では労組役員が「AIの利用が広範囲で進むにあたり、あらゆる差別などを学習しての再現や判断過程が不透明で理解不能になるなどの弊害が指摘される一方で、世界的に法整備が進んでいない」と強調。「AIの判断に人間が従っていく傾向がある」として、「企業が人事管理にAIを利用する場合、公平性と透明性が課題になる」と述べました。

 会社側は「賃金査定については面接を経て、最終的に所属長が決める。AIは判断におけるツールだ」と主張してきました。しかし、同社の販促資料にもAIに人間が従う傾向があるとの記載があり、実際の面接で上司から「AIがフラットでいいと言っている」と昇給の提示がなかったケースも社内で耳にしているといいます。

 今回の和解では▽AIに考慮させた項目全部の標題の開示▽賃金査定の疑義の解消のため必要なAIの提案の開示と説明▽AIについての賃金査定評価方法で今後、疑義が生じた場合には組合と誠意をもって協議する―ことなどの項目が盛り込まれています。

 労使の合意でこうした情報が開示されるのは、世界的にも極めて異例です。この和解は政府でも始まったAIの法規制の議論にも影響を与える画期的なものとみられています。

東京民報2024年8月11・18日合併号より

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