音楽への愛情を未来に繋ぐ ロシア民族楽器オーケストラ 15周年の演奏会〈2024年8月11・18日合併号〉
- 2024/8/19
- 文化・芸術・暮らし
ロシアの民族楽器バラライカのプロ奏者、北川翔さんが指揮者を務める「北川記念ロシア民族楽器オーケストラ」(ことば)が、結成15周年のコンサートを9月1日に開きます。特別出演は、歌手の加藤登紀子さん。15年間紡いできた音楽を未来につないでいきたいと臨むコンサートについて、北川さんに聞きました。
―どんなコンサートになりますか。
みなさんおなじみの曲も多くて、初めてロシア音楽に触れる人も含めて絶対に満足してもらえるし、楽しんでもらえると思います。
加藤登紀子さんとは、私自身は何度も共演させていただきましたが、オーケストラとしての共演は初めてです。ロシアの民族楽器と登紀子さんの声のコラボを私自身、とても楽しみにしています。
―オーケストラ結成の経緯は。
父であるバラライカ奏者の北川つとむ(2005年没)が生前、ロシア民族楽器アンサンブルに大きな力を注いでいたのを見てきたので、私自身もバラライカを手にした時から、いつかオーケストラをつくりたいと思っていました。
最初は10人ほどのメンバーで、いつかもっとたくさんの人と演奏したいという願いを込めての「オーケストラ」だったんですね。少しずつメンバーが増えていって、20歳代から70歳代まで、職業も経歴もバラバラの多様な人たちが、ロシアの民族楽器とロシア音楽が好きという一点だけで集まってくれています。
―15年間、続けてきて感じることは。
5周年のコンサートの時、トークゲストで出ていただいた笑福亭鶴瓶さんが「やっぱり続けることが一番大事だよ」という言葉をかけてくれたんです。5周年コンサートは、家族のようなオケをつくりたいと、「家族」をテーマにしました。父と仕事での縁があった鶴瓶さんに、NHKで家族をテーマにした番組に出演されていることもあって、出ていただいたんです。15周年を迎えて、鶴瓶さんの言われた「続ける」ということの意味を、すごく感じます。
―15周年のコンサートは「繋音」をテーマにされています。
こういう言葉は、実際はないのですが、音を繋(つな)ぐ、という意味をこめました。
10周年コンサートのテーマは「軌跡」で、父であったり、ロシア民謡研究家だった祖父の北川剛など、さまざまな人たちが日本にロシアの音楽を広めてきた道があって、今の私たちがいるという思いでした。今回は、そうやってつくってきた私たちの音楽、多くの人たちのロシア音楽への愛情を、未来につなぎたいという思いです。
―新しい曲にも挑戦されるそうですね。
その一つが「想い出しておくれ」です。父が作曲した曲で、実は、この15年間、父が作曲や編曲した曲は、このオーケストラではやってこなかったんです。
指揮者や音楽監督として、まだまだ父にはかなわないという思いがあったのですが、今回は挑戦してみようと。指揮者として勝負の曲ですね。父はやはり、最大の師匠であり、最大のライバルですから。
末期がんだった父の指揮で、私が最後に弾いた曲がこの「想い出しておくれ」でした。父の死から20年近くを経て、またこの曲を演奏できる。それも、オーケストラのみんながいるからこそで、本当に感慨深いです。
ことば
北川記念ロシア民族楽器オーケストラ
2009年に結成。ロシアの民族楽器を中心に、アコーディオン、フルート、オーボエ、打楽器等を加えて、日本各地のほか、ロシアでも公演。「北川記念」の名には、指揮者の北川翔の祖父でロシア民謡研究家の北川剛、父で日本人初のプロバラライカ奏者、北川つとむへの敬意が込められている9月1日(日)午後4時開演
全席指定4000円
渋谷区文化総合センター大和田4階さくらホール
出演=北川記念ロシア民族楽器オーケストラ
北川翔(指揮)
太田智美(アコーディオン)
特別出演=加藤登紀子
客演=合唱団 白樺
詳細は同オーケストラホームページ
チケット=ローソンチケット(Lコード:33967)東京民報2024年8月11・18日合併号より