「市民が唯一の決定機関」ドイツ流まちづくり学ぶ会〈2024年11月17日号〉

図や写真を示しながら解説する水島氏=9日、豊島区

 「再開発」という名の「まち壊し」が全国各地で進められています。「住民参加のまちづくり」の本質を、日本とドイツとの比較で考えようと、公開講座「ドイツ流『まちを創る』ことのすすめ」が9日、立教大学(豊島区)で開かれました。主催は立教大学文学部教育学科、共催は新建築家技術者集団東京支部。

 ドイツで40年以上にわたり建築家として活躍し、都市計画にも携わってきたバイエルン州建築家協会登録建築家の水島まこと氏が、「日本とドイツの都市の環境と景観は何故違うのか」をテーマに講演。水島氏は、両国の都市景観が異なる原因の一つとして、ドイツは人権の尊厳や主権在民、民主主義が認識された、まちづくりが行われていると主張。「都市環境が悪くなる建設は、ドイツでは許可されない。住民、市民が唯一の決定機関である」と、人権に対する社会的概念の差が、都市計画に関する法制度に表れていることを説明しました。

 水島氏が理想とする、風土を文化的に取り入れたドイツと日本の景観を「まち並みの原型」として映像で紹介。住宅とマンションが乱立する日本のまち並みは、「経済優先で個人の生活権を無視している」と指摘。新旧の建物が調和するドイツのまち並みと比べました。

 「美しいまち並み」は建物の高さや壁面をそろえることではなく、「市民の生活、文化が反映されていることが重要。住み良いか、住みづらいかの基準で判断されるべき」と強調。まちは人が生活してこそ存在意義があり、建築家は「建築する権利の前に、共同体を守る義務があることを認識すべき」だと述べました。

 日本の都市が際限なく増幅しているのは、明確な土地利用計画図がなく、用途地域図の具体性が欠如していることに起因します。ドイツは道路網や鉄道用地、農耕地、緑地帯など、建ぺい率と容積率を伴い、細かく分類。工業目的の用途地域に、管理人以外の住宅は建てられません。

 新たな開発や建設を行う際には、市民公聴会を開き、住民の賛同がなければ進められませんが、日本では公聴会が「あってないような制度」と、水島氏は批判。「生活する権利をどのように国全体、行政が考えているか。それこそ日本とドイツの都市景観が、乖離かいりする原因だ」と結論づけました。

東京民報2024年11月17日号より

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