【コラム砂時計】「セミの鳴かない夏」 〈2025年8月10,17日合併号〉

 

  「蝉時雨(せみしぐれ)」と言えば、俳句で夏の季語。無数のセミが一斉に鳴くことから、降りしきる雨にたとえてこう言われてきた。8月ともなれば、必ず聞こえてきたあの鳴き声をこの夏、全く耳にしない。小学生の夏休みの「自由研究」よろしく、理由を調べてみた。

 これには諸説あるが、一説には、空梅雨で地面が乾いてしまったこと。水分が少ないため、サナギが地上に出るタイミングを失い、そのまま息絶えてしまったのではないか。もう一つは都市部で開発が進み、そもそもセミの「住環境」が失われてしまったのではないか。

 それを確かめるため、緑が多い近辺の公園数か所を回ってみた。しかし、セミの声はおろか、抜け殻一つ発見できなかった。大きな桜の木の根元にはこんもりした土があるが、まるでコンクリートで固めたように硬かった。地球温暖化により、折々の風物詩とともに、日本から四季のうちの一つが消えかけているように思えた。

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