【読書 今月の本棚と話題】 バスの生涯に思いを巡らし ローレン・ロング 作 林木林 訳『きいろいバス』〈2025年8月24日号〉

 ページを開くと見開きいっぱいに墨絵のような黒い大地が拡がっています。山があり、蛇行する川があり、曲がりくねった道が続く。そして教会と思しき三角錐、その周りには四角い家々。

 さらに目をこらすと一点の黄色。次ページには大きくてちょっと丸みを帯びた鮮やかな黄色いバス! スクールバスです。

 バスが来ると毎朝、子どもたちがパタパタ、クスクスにぎやか。「暖かい大切な場所から未来へ続く大切な場所へ子どもたちを運んでゆく」「子どもたちはバスを喜びでいっぱいにして」。きいろいバスと子どもたちの表情は幸せそのもの!

あすなろ書房 2025年
1800円+税
ろーれん・ろんぐ 1964年アメリカ生まれ。児童書作家として著書多数
はやし・きりん 詩人、童話作家

 ある日、新しい運転手がやってきてどこやら違う場所へ。そこは老人ホーム。老人たちはヨッコラ、ヨイショとバスを喜びでいっぱいにした。

 やがて誰かがバスを街はずれに置いてきぼりに。寒さに震える夜が来ると家のない人たちが潜り込み家族のようにあたたまり、バスはまた喜びでいっぱいになった。

 ある朝早く、トラックがやってきてきいろいバスを遠い山の向こうの原っぱに持って行き、置き去りにした。子どもの声も老人たちの話も聞こえない。やがて、メーメー、パカパカとヤギたちがやってきて、バスはまた喜びに満たされた。

 止まったままのバスの周りがなんだかうるさくなってきた。ブイイーンと響く機械の音やトラックのうなり声。ある日、パタンと音が止まった。小鳥の声もせず、バスは空っぽのまま。農場からすべての音が消えた。

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