神宮外苑(新宿区・港区)の再開発計画を巡って東京都の認可取り消しを求める裁判の原告団長を務める米国人コンサルタントのロッシェル・カップさんは、裁判報告会(12月5日)の中で、原告の一人でもある経済思想家の斎藤幸平さん(東京大学准教授)と対談しました。「コモン」(公共財)をキーワードに再開発問題や街づくり、市民運動の課題などに話が及びました。一部を紹介します。
カップ 斎藤さんは神宮外苑の再開発を「コモン」を失うことだと述べています。そもそも「コモン」とは何か教えてください。なぜ今それが危機にさらされていると感じるのですか。

斎藤 私も東京出身ですが、神宮外苑だけでなく、いたる所で再開発が進んでいます。渋谷、新宿、池袋、湾岸部、築地の跡地などで、トップダウンで市民の意向や地域住民への説明なしに進められていることが問題です。「コモン」とは市場に任せるべきでないもの、自然環境や社会的インフラなど市民が一緒に管理すべきものです。
神宮外苑のような「コモン」が再開発の商品になろうとしています。再開発が日本で手っ取り早い金儲もうけの方法になっていますが、それにより東京の豊かさや自然環境が失われ、人々が「自分たちの街」と感じられなくなっています。
資金あるのに不十分な人員
カップ 今回の再開発では、およそ3分の1以上の樹木が伐採され、高層ビルの建設やスポーツ施設の整備が行われます。環境面、社会面、そして民主主義の観点から見て、問題だと考えている点はどこですか。

斎藤 最大の問題は、そこを利用してきた人々やコミュニティ、元々の理念をないがしろにして短期的な利益追求に走っていることです。リノベーション自体に反対しているわけではありませんが、議論が不十分です。
ドイツのハンブルクでは緑を計画的に管理する専門の公務員がいて、公園や街路樹の管理をしています。対照的に東京の街路樹は強剪定され悪い状態です。東京都には資金があるのに、木を管理する人員を十分に配置していません。












