【読書 今月の本棚と話題】偽装された政治的装置に変質 『神々のクロニクル 神社と天皇の内実』 片岡伸行 著〈2026年1月18日号〉

 マスコミの世論調査によると、ジェンダー平等の考えの浸透などに伴って女性天皇の賛成が多数に上っている。一方で天皇制(天皇の制度)の在り方をめぐる本質論議は影を潜め、皇室の動向は非政治的・超政治的な存在として持ち上げられることが多い。

 本書は天皇制の歴史と神社の変遷の相関関係を実証に基づいて論考した良書である。

 著者は伝統には肯定的な面がある一方、近代国家が正統性を維持するため政治的意図をもってつくられたのが「伝統」との英歴史家の学説を紹介。日本の神社は庶民が信仰対象としていた地主神などから、近代において記紀神話や皇室祖先神で偽装された「政治的・思想的な装置」に変質したとしている。

新日本出版社 2025年
2640円(本体+税)
かたおか・のぶゆき 1954年、静岡県生まれ。日刊新聞、週刊誌の編集・記者を経て、2022年2月以降、フリーの文筆業

 明治政府は天皇制を復活するため、廃仏毀釈によって神社を国家機関に位置付け、国家神道に格上げした。文化人類学者の山口昌男は天皇制イデオロギーが「美学的・宗教的に日本人の精神構造を規定してきた」と論じており、為政者が支配と戦争のため利用したのは、紛れもなく日本人の精神をむしばんだ「天皇教」ともいえるイデオロギーだった。

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