【街角の小さな旅】創造過程の共有と、地域の文化の揺り籠 板橋区立美術館と崖線(ハケ)の春〈2026年2月1日号〉
- 2026/2/1
- 街角の小さな旅
板橋区立美術館(板橋区赤塚、区立赤塚溜池公園内)は東京23区で初めての区立美術館として1979年に開館。
江戸狩野派をはじめとする近世の絵画や戦前の日本の前衛美術、さらには板橋区ゆかりの作家や池袋モンパルナスで創作に励んだ画家などの作品を収集・収蔵。また、江戸文化や池袋モンパルナスを紹介する展示会や絵本作家の登竜門ともなっているイタリア「ボローニャ国際絵本原画展」、区内小中学校生徒の作品展など、ユニークな活動をおこなっている美術館です。
また、1990年には戦前の前衛芸術運動・マヴォを主導した村山知義と柳瀬正夢の「グラフィックの時代 柳瀬正夢と村山知義の世界」展が開催されています。柳瀬正夢は日本共産党の非合法機関紙「赤旗」の前身であった「無産者新聞」を舞台に革命運動を鼓舞するプロレタリア漫画を掲載、特高警察の拷問も受けた希有の芸術家です。

終戦80年にあたった昨年は、日本の美術家たちが戦中・戦後を生きる子どもたちをどのように表現したのか。当時の子どもたちがどのような美術に触れていたのか―をテーマにした「戦後80年 戦争と子どもたち」展が開催されました。
今年は2月23日まで「区立小中学校作品展」、3月7日から熱した鉄筆や鏝などを紙や絹織物などに押し当ててつくられる「焼絵 茶色の珍事」展が開催されます。
「区立小中学校作品展」は展示室壁一面の絵画作品や多彩な造形作品が会場一杯に展示されており、入室した瞬間、若い息吹がほとばしる空間に誘われた思いがしました。
著名な作家や作品に軸を置くのではなく、芸術の創造過程の共有、地域の文化の揺籃としての美術館の姿がそこにありました。













