空の安全脅かす国際紛争 日本の航空産業に危険が 現役パイロットに聞く〈2026年3月8日号〉

 米国、イスラエルによるイランへの軍事攻撃開始が2月28日に始まったことによってホルムズ海峡の事実上の封鎖が始まり、輸入船の到着が未定なため、メディアは石油に始まる物価の高騰などを盛んに報道しています。現地では学校や住宅まで民間施設が攻撃され民間人が犠牲になっています。日本の航空会社も「安全が確保できない」として旅客機の運行を停止する中、危機を「他国の話」と経済状況だけの話題に矮小わいしょう化してはならないと警鐘をならす日本航空被解雇者労働組合(JHU)の現役パイロットを取材しました。

 ロシアによるウクライナの軍事侵略から4年、私たちが知らないところで民間旅客機も影響を受けていました。「日本からヨーロッパに行く際、ロシア上空が飛行禁止区域になったためにシリア上空を迂回していて、飛行時間が2時間ほど長くなっている」とJHUに所属するパイロットの近村一也さんは言います。「ただ迂回すればいいのではありません。シリアの航空管制官に迂回の許可を取らなくてはいけません。狭い地域を多くの旅客機が、ひしめき合うように飛行する大渋滞なので大変です」と語ります。

 また一緒に活動するパイロットの和波宏明さんは「それだけではありません。GPSの妨害電波が出されているために自機の位置が狂わされ、警告が表示されます。信用ならないためにGPSをオフにして別の方法で自機の位置確認をしています。『まただ』と思いつつも慎重にならざるを得ません」と続けます。同様に休戦状態が続く、朝鮮半島も妨害電波が出されているといいます。民間旅客機でも航路を逸脱し他国の領空に侵入すると、攻撃される危険が高まるために緊張が強いられる運航であるといえるでしょう。

 直近では2024年12月にロシアとウクライナの戦闘状態がもたらした悲劇として、ロシアの友好国であるアゼルバイジャン航空の民間旅客機が、ロシアの地対空ミサイルに攻撃を受けて墜落した事件がありました。両氏は「紛争がある限り民間機が安全とは言い切れない」と指摘します。

和波さん(左)と近村さん

 また民間機は国際法である国際民間航空条約上、“軍事攻撃の対象外”とされていても、軍事物資の積載や迷彩服を着た職業軍人が搭乗している場合は、軍事オペレーションを遂行している国の航空機とみなされて攻撃の対象とされかねません。「JALでは経営破綻後、迷彩服を着用した自衛官が搭乗する『チャーター便』が増えています。迷彩服を着用した行動について防衛省は『軍事オペレーションの一環』だとしている以上、JALは日本を敵視する側からの攻撃の対象外とは言えません。同乗する他のお客様の安全に関わる問題です」と和波さんは強調します。

対岸の火事でなく

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