調布市 公開請求で個人情報漏えい 被害男性「恐ろしい、通報者守って」〈2021年12月5日号より〉
- 2021/11/30
- 外環道
東京外環道の地下トンネル工事をめぐり調布市に情報公開請求した男性の個人情報が、NEXCO東日本など事業者3者へ漏えいされていたことが明らかになりました。調布市は11月10日、「個人情報の漏えいに関するお詫びと御報告」をホームページ上で公開。事実を認め、「個人情報への意識が希薄であったことによるミス」としています。しかし漏えいは9回に渡り、繰り返して行われたことから「作為に基づく積極的な行為では」「東京外環道の推進に異を唱えることは許されないのか」といぶかる住民の声が絶えません。
調布市在住の男性(74)の自宅に「内部通報」らしき匿名の封書が届いたのは10月25日のことでした。中には①あなたの個人情報駄々洩れと記した手紙②調布市から東京外環3事業者へのメール(らしきもの)③(男性が市に提出した)10月1日付の市政情報公開請求書(マスキングなし)―が入っていました。11月2日消印で類似する「内部通報」の封筒が調布市長にも届いたことが明らかになりました。

市都市整備部職員から男性に電話があり、その後、市から「個人情報の漏えいに関するお詫びと御報告」の書面が自宅に届けられ、6月10日から10月29日まで計9回に渡る漏えいが明らかになりました。男性に通報が届いた後も漏えいは続いていたことになります。
不可解な手続き
通常、市民が情報公開請求をした場合、市が作成した資料でなければ個人情報などにマスキングを施した上で作成者の判断を受け交付します。その際、請求者の情報が通知されることはありません。しかし、今回は男性の個人情報が記載された情報公開請求書を、東京外環3事業者に渡す形で個人情報が通知される不可解な事務手続きだったのです。
男性は「底知れぬ恐ろしさを感じる。内部通報者を守って欲しい」と声を震わせます。さらに男性らが、調布市に外環3事業者とのメールの公開を求めても「消した」と答えています。本来、公文書ややり取りの記録は残されているもので信じがたい回答です。こうした行為は「単純なミスではないのでは」と不安を訴えます。
調布市では今年4月から東京外環道を所管するセクションの課長が変わりました。過去に住民との話し合いで酸欠気泡の酸素濃度の測定値の食い違いの説明を求める市民に「国の言うことを信じます」と答えて取り合わなかったとの声も聞こえます。また、最近は住民との話し合いの内容を市がまとめて文書記録を残すことも断ってきたとの情報もあります。
一連の情報漏えい事件は「ミスではない。行政が全体の奉仕者ではなく、権力の奉仕者として仕える姿勢の現れでは」との被害住民の声にどう向き合うのか、調布市の姿勢が厳しく問われます。
(東京民報2021年12月5日号より)