街角の小さな旅18 審美眼と美意識示す透き通った空間 松岡美術館と白金台〈2月6日号より〉

 松岡美術館(港区)は地下鉄白金台駅からイチョウ並木におしゃれなブティックやレストランが並ぶプラチナ通りを進んだ先にあります。

松岡美術館

 松岡美術館は実業家であった松岡清次郎が蒐集した古代オリエントと古代東洋の美術・彫刻、東洋陶磁や日本画、西洋彫刻を収蔵・展示している個人美術館です。

 改修のため休館していましたが、1月26日にリニューアルオープン。「[再開記念展] 松岡コレクションの神髄」が開かれています。4月17日まで。

 「館蔵 東洋陶磁名品選」では、景徳鎮窯の「青花脂紅双鳳文扁壺」(大清乾隆年製銘)や唐時代の「三彩馬」、さらには日本の有田古九谷様式の「色絵芭蕉柳図輪花鉢」などを展示。

 「館蔵日本画 花鳥風月」では重要文化財に指定されている伝周文の「竹林閑居図」、川合玉堂の「白鷺」。「古代ギリシア・ローマ大理石彫刻展」ではヘレニズム期の「アレキサンダー大王胸像」などが鑑賞できます。

 常設展では、古代オリエント美術、ガンダーラ・インド彫刻、ヨーロッパ近代彫刻を展示。

 なかでも日本の仏像の原点にあたるガンダーラ(現パキスタン北西部)の仏像は、古代ギリシア・ヘレニズムの影響を受けたガンダーラの仏教彫刻を好んだ松岡が蒐集に力をいれていたものです。古代インドでは釈迦の像を造ることは禁止されていましたが、ガンダーラに仏教が伝来、西洋文明と融合することで仏像が誕生しました。ギリシャ彫刻のように彫りの深い顔立ちが特徴です。

自然教育園のむくのきの巨木

 「私立美術館は美術品を蒐集した館の創立者の美に対する審美眼を、その一つひとつの美術品を通して、ご覧いただく方に訴えるべきところ」と語った松岡の美意識にかなった逸品が並ぶ展示空間には、透き通った空気感がありました。小品ですが鍋島藩窯の「色絵紫陽花図皿」はコレクターが手のひらにおき、愛でる姿が浮かぶ思いでした。

国立科学博物館自然教育園

 松岡美術館に隣接して国立科学博物館附属自然教育園があります。この地域は武蔵野台地の東外れにあたり、縄文中期には人が定住。平安時代には染料となるムラサキの栽培がおこなわれていたと言います。江戸期には高松藩主の下屋敷として回遊式の庭園が整備され、園内の松の古木にその名残を見ることができます。

 大都会のなかに残された数少ない森林緑地で、散策路をめぐると「ムクノキ」の巨樹やカワセミも飛来する池など、都心にいることをひととき忘れさせてくれます。

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