【アーカイブ連載】震災に備える① 影響続く東日本大震災 〈2021年10月17日号より〉

 新型コロナの感染拡大が依然として収束せず、私たちは不確実性が増大する時代を生きています。そのことは、災害対策でも同様です。

 この連載では、不確実性の増大について、①今も続く東日本大震災の影響②首都直下地震とはどういうものか③近く起きる可能性が高い南海トラフ地震④それらの複合災害―について述べ、そのうえで、震災への備えについて述べていきます。

 まず10年が経った東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震)の影響です。地震により東日本大震災が引き起こされました。東北沖地震はマグニチュード(M)9・0の極めて大きな地震です。観測史上、M9を超える地震は5回しか記録されておらず、世界記録で4番目に大きい地震です。

 ここで言う大きさには、空間的に広い範囲に強い揺れを与えたということとともに、10年経った今も、帰還できない住民がいるなど社会現象としてはもちろん、自然現象としての影響も続いているという、時間的な大きさ(長さ)があります。

 空間的な大きさをみると、2016年のM7・3の熊本地震は、強い揺れは熊本から大分くらいまでの約50㌔㍍の範囲で感じられました。他方、東北沖地震では、北海道や青森から茨城くらいまで500㌔㍍の領域が強い揺れに見舞われました。長さが10倍ということは面積では100倍の広さになります。

 時間的な長さでは、この地震の余震は今でも発生していて、今年になってからも2月に福島県沖でM7・3、3月にM6・9と、M7クラスの余震が起きています。余震の数は、経過時間に反比例するように減っていくことが知られていますが、途中で大きな余震が発生することで、その「二次余震」が生じ、数が増えます。現在も、この地域の地震の回数は、東北沖地震発生前の平均より多い状態です。

 地殻変動への影響もあります。東北沖地震発生以前の日本列島は、東側にある太平洋プレートが、1年間に10㌢㍍ほどの速さで西に進んでいることの圧力を受けて、1年間に東西に1~2㌢㍍ほど縮んでいました。

 東北沖地震が起きた2011年3月11日午後2時46分から3分間ほどで、牡鹿半島(宮城県)は東に5・4㍍動いています。この3分間で東北地方は全体として3~4㍍伸びたのです。地震から10年経った現在も、東北地方は年に数㌢ずつ伸び続けています。

 これは力学的に不安定な状態が続いているということであり、余震が多い状態が続く理由です。

 防災科学技術研究所参与・東京大学名誉教授・平田直

 ※連載は9月17日の関東大震災メモリアルシンポでの講演を再構成して紹介します

(東京民報2021年10月17日号より)

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