核兵器禁止 被爆3世として伝えたい ウィーンでの体験語る〈2022年8月7日・14日合併号〉

第1回締約国会議前日 非人道性会議でスピーチ

KNOW NUKES TOKYO 中村涼香(すずか)さん

▲音声読み上げ
出会った人々に平和へのメッセージなどを書き込んでもらったバナー。議長のクメント大使(中央)からのメッセージも(提供:KNOW NUKES TOKYO)

 核兵器を国際法として全面的に禁じた史上初となる「核兵器禁止条約」の第1回締約国会議が6月21~23日、オーストリアの首都ウィーンで開かれました。日本からも被爆者やNGOなど、多くの市民が参加しましたが、唯一の戦争被爆国として核兵器保有国と非保有国の「橋渡し役」を自負する日本政府の姿は、そこにありませんでした。核兵器の廃絶を軸に、ジェンダーや気候危機など、さまざまな社会問題の解決に向けて活動する若者グループ「KNOW NUKES TOKYO(KNT)」のメンバーも、外務省「ユース非核特使」の委嘱を受けて渡航。締約国会議の前日に開催されたオーストリア政府主催の「核兵器の人道的影響に関する国際会議(非人道性会議)」で、着物をまとってステージに立ち、英語でスピーチしたKNT共同代表の中村涼香さん(22)に、現地で感じたことなどを聞きました。

 「核兵器の被害が被爆2世や3世にどのような影響をもたらすか明らかになっていません。何も分からないのです。何も分からないから怖いのです。…これからの将来、被爆の恐ろしさを記憶し、同じ過ちを繰り返さないかどうかは私たちにかかっているのです(日本語訳)」―各国の政府代表団など、多くの参加者が集まる非人道性会議のオープニングセッションで、長崎出身・被爆3世の中村さんは、日本原水爆被害者団体協議会の事務局長を務める木戸季市さん(82)の次にスピーチしました。

託された平和の帯を締め

長崎で被爆した福島富子さんから借りた着物と帯をまとうKNTの中村涼香さん(左)と徳田悠希さん(提供:KNOW NUKES TOKYO)

 スピーチを頼まれたのは、ウィーンに出国する6月16日の早朝。「被爆3世としてのパーソナルな経験と核兵器廃絶への思い」を、6分間で語ってほしいというオーストリア政府からの依頼に、中村さんは「やるしかない」と覚悟を決めたといいます。

 被爆3世のスピーチを望んだのは、非人道性会議のホストで締約国会議の議長でもあるオーストラリア大使のアレクサンダー・クメント氏。「締約国会議中、若い世代の人たちやNGOの声を積極的に取り上げようと調整したのがクメントさん。若者が政治の意思決定の場に参加することを重視していることが、会議のコーディネートから感じられました」と、中村さんは振り返ります。

 着用した着物は、長崎で生後7カ月のときに被爆し、国内外で核廃絶を訴える福島富子さんから託されたもの。帯には「和」と「Peace」の文字が大きくしゅうされています。「会場で着物はとても目立ち、たくさんの方に声をかけていただいた。一緒に写真を撮ろうと気軽に話しかけてくれた人が、実はカザフスタンやチリの大使だったなんてこともありました。福島さんの着物が、コミュニケーションやネットワークを広げてくれたのです」

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