東京都が交通の円滑化や防災を口実に進める特定整備路線・都道補助29号線(品川〜大田区)の事業認可取り消しを国と都に求める訴訟の控訴審第1回口頭弁論が18日、東京高裁(増田稔裁判長)で開かれました。
補助29号線の整備は約550棟、1000人規模の住民に立ち退きを迫る事業計画。原告側は今年5月に地裁で敗訴しましたが、行政側の主張に沿う判決に納得できず、控訴に踏み切りました。
法廷では、原告団長の池戸アキコ氏と弁護団の串山泰生弁護士が意見陳述。池戸氏は道路事業で転居を余儀なくされた老夫婦が転居先で亡くなった事例を述べ、「高齢者が遠隔地に引っ越すことは命の危険が伴う」と訴えました。
子どもの成長に欠かせず、地域のオアシスでもある公園が、道路で半分につぶされることへの住民の嘆きも代弁。2016年2月25日の衆院予算委員会分科会で明らかになった、特定整備路線に対する国の事業費支出を、都の交付申請に不備があったにも関わらず、国交省が受領していたという重大な瑕疵を主張しました。
串山弁護士は、原判決の問題を3点訴え。1点目に、控訴人らが被る損害が正当に評価されていないことを指摘。長年住み続けた故郷から立ち退きを迫られ、築き上げてきた地域コミュニティーから切り離されるのは「耐え難い苦痛であり、お金だけの問題ではない」と、正当な補償の判断を求めました。