被害に見合った賠償を 原発訴訟 全国連絡会が議員要請〈2022年12月4日号〉

 東京電力福島第一原発事故で被災し、国や東京電力に対して責任の明確化と損害賠償などを求めている全国の原告らによって結成された原発被害者訴訟原告団全国連絡会は11月24日、国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)で議論が行われている賠償基準「中間指針」の見直しなどについて、衆参両国会議員に要請しました。

院内集会で訴える馬奈木弁護士=11月24日、千代田区

 要請書では、①原発事故被害者による集団訴訟への支援②トリチウム汚染水の海洋放出に反対すること③原発の新設、運転期間の撤廃に反対すること④原賠審が策定した中間指針等の見直しに際して、すべての原発事故被害者が被害の実情に見合った十分な救済が受けられる基準の設定―を求めています。

 要請後の集会で、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は、賠償基準を見直す動きが出てきたことについて、「遅きに失する」と批判。自主的避難等対象区域やその外側の見直しについては「極めて期待が薄い」として、「被害者間に新たな分断が持ち込まれるようなことがあってはならない」と強調しました。

 来年は、各地の後続訴訟が次々に判決を迎える予定。今年6月17日に「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)、千葉訴訟、群馬訴訟、愛媛訴訟の4訴訟に下された、国の責任を認めないという最高裁判決を「くつがえす強い思いでのぞみたい」と、馬奈木氏は述べました。

 スリーマイル島やチェルノブイリなど、原発事故にまつわる現場を多数取材してきたジャーナリストの金平茂紀氏が、オンラインで参加。「原発は自由を奪う。生活を奪う。未来を奪う」と強調。6月17日の最高裁判決を「後世に残るひどい判決」と厳しく批判し、岸田文雄政権が方針を打ち出している原発再稼働や新増設、原発の稼働期間撤廃、汚染水の海洋放出のほか、原発事故と甲状腺がん多発の因果関係や疫学的な関係すらも全否定しようとする国の論理に、「胸がつぶれるような思い」と語りました。

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