【コラム砂時計】サッカーとジェンダー平等〈12月11日号より〉

 

 「何が起きるかわからない」といわれるサッカーのワールドカップ(W杯)だが、2022カタール大会で森保ジャパンが優勝経験国であるドイツ、スペインに逆転勝ちして16強に勝ち進んだのもその一つといえるだろう。16強の顔ぶれを見ると、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング上位のベルギー、ドイツ、メキシコ、デンマーク、ウルグアイといった強豪が相次いでグループリーグで姿を消し、ファンを驚かせた。日本が目標とした8強入りはクロアチアと1対1(PK1―3)で敗れ惜しくも果たせなかった。

 サッカー界の変化の兆しといえば、この大会で、初めて女性の審判員が6人選ばれたことが挙げられる。その中の一人が東京・中野区出身の山下良美さん。そして、フランス出身のS・フラバールさんがコスタリカ─ドイツ戦で女性として初めて主審を務めた。

 「女性がW杯で審判することはスポーツの民主化につながる」とコスタリカのスアレス監督は歓迎しているが、サッカー界での男女格差は著しい。

 例えば、賞金額である。今回のカタール大会の賞金総額は史上最多の4億4200万㌦(約602億4千万円)。優勝国にはFIFAから4200万㌦(約57億2千万円)、8強に入れば1700万㌦(約23億1千万円)が授与される。直近の女子W杯フランス大会(2019年)と今大会を比べると、女子の賞金総額は男子の10分の1にも満たない3000万㌦(約40億8千万円)である。

 過去4回の優勝を誇るアメリカの女子代表チームが米サッカー協会に対し、男女同一報酬を求めた裁判で今年3月、画期的な和解が成立した。すでにイングランド、ノルウェー、ニュージーランドの協会が男女同一出場料とすることを決定している。多くの関心が集まっているいま、サッカー界のジェンダー平等にも光が当たるよう多くの選手が期待しているに違いない。(ジャーナリスト・阿部芳郎)

(東京民報2022年12月11日号より)

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