【書評】国民総動員の危険な道 『帝国日本のプロパガンダ 「戦争熱」を煽った宣伝と報道』 貴志俊彦 著

 帝国日本がアジアにおいて侵略戦争を遂行するためには、国民がそれを受け入れ、協力する状況をつくる事が不可欠でした。

帝国日本は、そのために戦争に反対する勢力を徹底的に弾圧する一方、あらゆる宣伝と報道によって国民の間に「戦争熱」をつくり出すことに全力をあげたのです。

本書は、日清・日露戦争から日中戦争、アジア太平洋戦争において、19世紀末に始まったビジュアル(視覚的)・メディアを駆使した政治宣伝、戦争報道(本書では広くプロパガンダと定義)によって、どのように「戦争熱」を生み出していったのかを詳述しています。

中公新書 2022年 924円(税込) きし・としひこ 1959年生まれ。京都大学東南アジア地域研究研究所教授、東京大学大学院情報学環客員教授などを兼務。専門は東アジア近現代史

日清戦争期の極彩色の錦絵による戦争報道、日露戦争期の戦況写真、第一次世界大戦期における新聞、雑誌、絵葉書、幻灯機、ポスター、その後の映画など、時代とともに発展していったビジュアル・メディアがどのように国民の精神を戦争遂行に鼓舞したのかを、豊富な図・写真を駆使して紹介しています。

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