地域壊す道路、取り消しを 補助29号線裁判が結審〈2023年7月23日号〉

報告集会で発言する池戸アキコ原告団団長=13日、千代田区

 東京都が交通の円滑化と防災を口実に進める特定整備路線・補助29号線の事業認可取り消しを求める行政訴訟が13日、東京高裁で結審しました。

 補助29号線は山手通り大崎警察署から戸越銀座商店街、戸越公園駅前、西大井を突き抜け、環状7号線に至る3.5キロメートル、幅20メートルの道路を新設する計画です。それに伴って、550棟の住宅や幼稚園などが立ち退きを強いられ、10の商店街、14の町会が分断されます。事業認可に伴い、計画地沿道の建ぺい率、容積率が緩和され、駅の北・南側に多くの高層ビル建設計画が予定され、再開発に多額の税金が投入されようとしています。

 戦後70年以上をかけて地域住民が築いてきたコミュニティの破壊につながると、原告ら住民は懸念しています。

 原告団長の池戸アキコさんが意見陳述し、都の事業の不当性を資料とともに示し、認可の取り消しを求めました。

 立ち退きが求められている近隣住民に対し、地裁判決は、「東京都の補償基準に基づいて、正当な補償を行う」と住民への影響を否定し、原告の訴えを退けました。

 しかし、都が示した補償額では、近隣に代替地と住居を求めることは困難です。ある原告は補償見積額と、現在と同様の住居を新築する差額は3500万円にもなることを明らかにし、道路建設により、憲法13条の個人の幸せと尊厳が脅かされると訴えました。

 弁護団は、東京都が道路建設の根拠としている木密地域の不燃化について、延焼シミュレーションを道路の延焼遮断帯効果のみについて行い、居住地域については行っていなかったことを明らかにしました。岩見良太郎埼玉大学名誉教授のシミュレーションを意見書として提出し、都の想定よりも延焼が大幅に減少することを示しました。

 また、道路建設によって不燃領域率70%を目指すことについては、計画沿線では、最も低い豊2丁目で45.5%、戸越5丁目では65.7%であることを示し、「建て替え費用を援助する方が合理的」だと指摘してきました。

 串山泰生弁護士は、裁判後の集会で、「昭和41年(1966年)にできた都市計画の必要性を示すために、防災を理由とした結果、矛盾が生じている」と、都の計画を批判しました。

 裁判は、11月に判決の予定です。

東京民報2023年7月23日号より



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