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- 学校プール廃止でなく拡充を 都議会 原のり子都議が一般質問〈2023年10月8日号〉
都内の公立小中学校で、老朽化や統廃合を理由に学校プールが廃止され、民間プールを使う学校が増えていることが、日本共産党都議団の調査結果で明らかになりました。都議会本会議の一般質問(9月27日)で日本共産党の原のり子都議が取り上げました。9月現在、都内11自治体で学校プールを統合・廃止し、19自治体が検討しています。ただ、既存プールは残して試行実施する自治体も少なくなく、慎重に対応していることもうかがえます。
原都議は学校プールの統廃合の背景に、国が進める経済効率性を最優先させる公共施設等総合管理計画があると指摘。東日本大震災で水泳の授業を思い起こして津波から命を守った児童の例を紹介し、呼吸法や着衣泳など泳ぐ力を身につけさせる重要性など、学校での水泳指導の意議を強調。プールの改・新築への自治体補助の拡充を求めました。浜佳葉子教育長は「区市町村に対し国の補助を活用し施設整備が進められるよう支援し、国に補助率引き上げを要望している」と答えました。
原都議はまた、子どもたちへの夏のプール開放は32自治体、地域開放は25自治体が実施している調査結果を紹介。学校プールの統廃合でプール開放がなくなり、子どもたちの楽しみが奪われたケースもあるとして、「学校プールは水泳授業の場としても地域スポーツの場としても重要だ」と訴えました。
その上で「国際大会には力を入れる一方で、誰もがスポーツに参加できる環境が後退していくのでは本末転倒だ」とし、スポーツ基本法に基づく都のスポーツ基本条例を制定し、学校プールを水泳授業や地域スポーツの場として拡充するよう提起しました。
多くの自治体は統廃合に慎重
都議団調査によると、学校プールの廃止や統廃合を行っている自治体のうち、葛飾区では昨年度から学校外の屋内温水プールを活用した水泳指導を、試行を含めて12校(小学校11、中学校1校)で実施。今年度は24校(小学校23校・中学校1校)に拡大。日野市は2021年度から小学校4校・中学校1校、22年度から小学校2校で廃止しました。清瀬市は22年度から一部の学校プールの使用をやめ、民間プールを使用しています。
また、多摩市は今年度から小学校17校でプール指導を外部民間委託によって本格実施しています。ただ既存の小学校プールは残置しています。
一方、検討している自治体でも、「昨年度から検討を始め、今年度末に報告書をまとめる予定」(世田谷区)、「整理検討中につき、具体的な統合・廃止の方針は決まっていない」(渋谷区)など、さまざまです。
障害者雇用支援拡充求める
一般質問には(9月27日)、各派から12人が立ちました。日本共産党の原都議は、統合失調症を発症した人の事例を示し、障害者一人ひとりの状況に応じた働き方ができるよう、都の対応を求めました。
例としてあげたのは統合失調症を発症し退職した人。都の「地域人材確保総合支援事業」を活用した生活訓練事業所での就業体験を経て工場で週3日、1日3時間働くようになり、やりがいを感じるようになりました。
原都議は「一人ひとりの状況や特性に応じた柔軟な働き方が可能になり、障害者や引きこもり経験者、生きづらさを抱えた人たちの選択肢が増えるよう、都の支援事業の継続を」と訴えました。
その上で原都議は、この事例において、障害者雇用率を上げるために、制度適用基準に不足する労働時間を無理に伸ばそうとしていないことを評価。「障害者雇用で大事なのは、障害特性に応じて生き生きと仕事ができているかどうかだ」として、小池知事の考えをただしました。
小池知事は「障害のある人が自分らしく働き、希望する地域で安心して暮らせるよう雇用促進や福祉施設での就労支援などに取り組んでいる」と答えました。
東京民報2023年10月8日号より