運転士不足の裏に過酷勤務 路線バス運行を“密着体験” 長時間・重労働の実態は〈2025年3月30日号〉

 バス運転士の不足により路線バスの運行に支障をきたしている状況が、全国的に問題になっています。東京都内でも三多摩地域のみならず、23区内でも減便が深刻化しており、春のダイヤ改正ではさらなる減便が進んでいます。背景には、少子高齢化による労働人口の減少と運輸業界における働き方改革のせいだけではなく、構造改革の名の下で路線バス運転士の「低賃金、重労働」化が進められてきたことがあります。その過酷な働き方について全日本建設交運一般労働組合(建交労)東京本部の協力を得て密着取材。想像を絶する、安全軽視・人権侵害とも思える働かされ方でした。

 乗車するバスは、東京の私鉄系大手バス会社に長年勤務してきた運転士が、長時間拘束勤務する際の運行スケジュールを想定して設定。運行準備を終えて車庫から出発して帰着するまでの間、取材しました。始発から終点までを乗客として乗り、同じ時間に休憩をとりました。また休憩中に業務とされた回送運転時間は公共交通機関で移動し、業務対応がある時間を想定して記者も取材メモを作るなどの業務をこなしました。

始業準備は勤務外

 運転士は多摩地域の車庫に出勤し、出勤時間とされている午前6時59分には制服と制帽を着用の上でアルコール検査を終えて点呼を行います。当日の運行時間表、車両のカギ、運行日報(および車両点検簿)を受け取り駐車位置の確認を済ませて、車両点検を実施。法令に基づいてタイヤやエンジン、計器の他に車両の周りを一周して確認して、始業点呼を終えて出発し、7時24分発の停留所に向かいます。

深刻な運転士不足をあらゆる手段で解消しようとPRバスを走らせる会社も(記事とは関係ありません)

 ターミナル駅まで約13分、5停留所の路線を走ります。駅で乗客を降ろし、定刻に合わせて3分で始発場所へ行き、折り返して駅に戻ります。

 8時16分、約30分の路線に出発。幹線道路を走り、住宅地や複数の企業をつないで2駅先まで運行します。途中、出勤渋滞で終点には4分遅れで到着。次の出発まで3分弱しかなく、あわただしく折り返してターミナル駅に戻ります。さらに同じコースを1往復してからターミナル駅に戻り、乗客を乗せて、車庫に戻ると10時半過ぎです。ここで車内点検、納金、給油、洗車を済ませて、約80分の休憩になります。

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