休憩場所なく最賃並み給与 入国審査の現場で異常事態 法務省の姿勢問われる〈2025年4月20日号〉

 外国から飛行機が空港に到着すると、乗客と乗員は必ず検疫審査、入国審査、税関、動物・植物検疫を経てから正式に入国になります。感染症などを国内に持ち込ませないための健康チェックの質問票を提出(検疫審査)し、「日本人」「外国人」などに振り分けて案内され入国審査の列に並びます。この案内の担当者が国家公務員ではなくアルバイトで、雇用も賃金の支払いも不安定だということを知っているでしょうか。

 降機してきた乗客でごった返す中、インターネットの事前登録や健康質問票の提出が済んだ人を、ベストを着た職員が列に誘導しています。この職員はイミグレーションアテンダント(出入国管理案内、以下IA)と呼ばれ、ほとんどがアルバイトで最低賃金程度で受託事業者と雇用契約を結び従事しています。法務省はIA業務を1年ごとの一般競争入札で民間企業に委託していますが、これまで金額重視で落札されてきた経緯があります。

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 しかし仕事内容は単純ではなく、外国人でも「特別永住権保持者」「ベビーカーや車いす使用者」「米軍属」などの見極めと振り分けや、入国審査カードの記載確認が必須。不審者を入国させない役割の一端を担っています。最近はインバウンドの増加により、時には英語だけではない外国語のスキルの必要性も高まっているといいます。

仮眠は旅客長椅子で

 羽田空港は24時間運用のためIAの勤務は日中にとどまりません。外国からの飛行機の到着は深夜、早朝帯にもあり、遅延などの対応も考慮して国側からの指示に基づいて受託事業者が人員を配置します。交代勤務で日本を最前線で守っています。

 深夜の午前2時から4時の時間帯には到着便がほとんどないために、仮眠を取り体を休めて備えます。しかし男性が20人ほど勤務する中、仮眠室には2段ベッドが2台、ソファーベッドが1台しかなく5人しか仮眠できません。段ボールを床に敷いて仮眠を取るスペースが1人分、他の人は休憩さえとるスペース、「居場所」がありません。

 仕方なく「旅客用の長椅子で体を休めていたIAが、警備員に注意されたこともありました」と現場の労働者は話します。まさに人権侵害という状態が放置されています。

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