【読書 今月の本棚と話題】近代化と宗教の調和は可能か 『イラン革命史 イスラム体制の存続とその行方』駒野欽一 著〈2026年2月15日号〉

 イランでは昨年末からの反政府デモで数千人が死亡したと伝えられるほか、米国の軍事介入が取りざたされるなど緊迫した状況が続いている。本書は1979年の革命後、イスラム体制が続く同国の足跡をたどったもので、現在の情勢を予期したかのようなタイムリーな一冊だ。

 イラン革命が世界に衝撃をもたらしたのは、民衆が蜂起し、国王を追放したからだけではない。カリスマ的存在だったホメイニ師を頂点とする聖職者によってイスラム教の政教一致体制の国家が樹立されたためである。

明石書店 2025年
5940円(本体+税)
こまの・きんいち 1947年生まれ。1970年外務省入省、アフガニスタン大使、エチオピア大使、イラン大使を歴任後、2012年外務省退職

 イスラム教の教義と近代主義に基づく社会変革が両立できるか。改革派や世俗主義者が「文明の衝突」として悩んできた命題であり、イスラム原理主義の影響力に見られるように中東地域の対立や紛争の根源となっている。

 駐イラン大使時代を含め長年、日本大使館に勤務していた著者は、イラン・イラク戦争、改革派と強硬派の権力闘争、核開発、米国・イスラエルとの衝突などイランの現代史を目の当たりにしてきており、迫力ある生々しい「証言」として読みごたえは十分だ。

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