【街角の小さな旅】民主的文化運動で役割を果たした生涯 永井潔アトリエ館と光が丘公園〈2026年3月1日号〉

 永井潔アトリエ館は地下鉄平和台駅近くの住宅街のなかにあります。

 画家として出発した永井は、戦前、天皇制軍国主義のもとで3回の徴兵を受け、1938年の戦闘・張鼓峰(ちょうこほう)事件で瀕死の重傷を負った一方で、治安維持法違反容疑で検挙・拘留という青年期を送り、戦後は終戦の年の10月にはいち早く仲間を募って民主主義美術研究会を立ち上げ。翌年には今日につづく日本美術会創立にあっても、創立総会の呼びかけ人の筆頭に名前を連ねるなど大きな役割を果たしました。

永井潔アトリエ館

 その日本美術会の綱領には「1.民主的美術文化を創造し普及する。2.美術を人民に開放し、その美術的資質の昂揚をはかる。3.美術に対する封建的な制度やその因習を排除する。4.美術家の自由な創作生活を擁護する。5.内外の進歩的な文化活動を積極的に提携する。」ことが掲げられていました。永井はこの綱領の実践の先頭に立って活動しました。

 その永井の画業は戦前、軍隊除隊後に創作した「自画像」が美術団体一水会に入選。戦後はじまった無審査・自由出展の日本アンデパンダン展に出品した「蔵原惟人像」が読売新聞の年度ベストスリーに選定されるなどその歩みを確かなものとしました。

 その後、92歳で永眠するまでリアリズムの視点からの油絵、水彩画、挿絵など創作を重ね、宮本顕治日本共産党中央委員会書記長(当時)還暦記念として「宮本顕治像」を描いています。

 また、民主的文化運動の中心的役割を果たし、「芸術論ノート」など根源的な芸術論、哲学的な反映論、言語論などを著した理論家であり各方面に影響を及ぼした人物です。

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