参院選は、金融庁の年金だけで生活するには2000万円足りないという報告書を受け、年金の問題が、大争点になっています。
安倍首相は参院選最初の日曜日となった7日、中野駅で同党女性候補の応援演説に立ち、「年金が大きな争点だ。野党が年金の不安をあおっている」と野党を攻撃。「経済を強くすれば、年金も増えていく」と強調したものの、生活を支えるだけの年金額が支給されておらず、さらにマクロ経済スライドで政府が削減を続けようとしているという、根本の問題には、何も触れませんでした。
共産党は、年金保険料の上限を年収1000万円から2000万円に引き上げるという具体的な財源も示して、「減らない年金」を実現する道筋を提案しています。
年金、最低賃金、学費など、「暮らしに希望を」を掲げる共産党の政策に共感が広がっています。新宿駅東南口では同日、若者と共産党を応援するJCPサポーターの街頭宣伝が行われました。
道行く人がパネルに書いた、年金、奨学金、ジェンダー平等など、一つ一つの願いに対して、志位和夫共産党委員長が同党の政策や提案を説明。「バックバナー(横断幕)に描かれたガーベラの花言葉は『希望』、赤いガーベラの花言葉は『情熱』です。情熱をもって、日本をよくする希望を語りぬいて躍進を目指します」と訴えました。
東京選挙区の吉良よし子候補は、「一人ひとりの命と人生に寄り添い支えるのが政治の仕事。みなさんの不安を、希望に変える選挙に」と呼びかけました。
首相の演説にヤジ
中野駅北口の演説で、安倍氏が壇上にのぼると、「安倍はやめろ」のやじが、聴衆から一斉に起きました。やじの声で、安倍首相の演説が聞き取れないほどです。
自民党本部は、安倍氏の街頭演説の場に、政権に反対する聴衆が押し寄せるのを恐れ、総裁の街頭演説日程を、一部にしか知らせない異例の対応をとっています。この日は、女性候補が、自身のホームページで首相が応援に来る日程を明らかにしたため、安倍政権に怒る人たちが、中野駅前に集まりました。
安倍首相は、「厳しい選挙です。ぜひご支援を」と女性候補への支援を呼びかけ。終了後、司会者が雰囲気を盛り上げようと、「安倍総理、安倍総理」と掛け声を聴衆に呼びかけましたが、応じる人はほとんどいませんでした。
野党共闘を攻撃
自民党、公明党は、各地の街頭演説で、「政治の安定こそ最大のテーマ」と訴えています。
中野駅での演説では、何人もの弁士が、「自衛隊などで考えの違う共産党と立憲民主党が組んだ、野党の野合に、負けるわけにいかない」と訴え。市民と野党の共闘の勝利、なかでも共産党の躍進に脅威を覚えていることを感じさせました。
安倍首相は、「共産党が自衛隊を憲法違反だと言っている。この論争に終止符を打つために、憲法に自衛隊を明記する」と語りました。
共産党の志位委員長は7日の、各党党首によるテレビ討論で、安倍氏が著書で自衛隊が米軍のために「血を流し」て戦うことができないと問題視していることを指摘。トランプ大統領が日米安保条約を「不公平な条約」と語っているもと、米軍のために血を流す自衛隊にすることこそ、9条改憲の真のねらいだと厳しく批判しました。
(東京民報2019年7月14日号に掲載)