インターネットによる動画ライブサービス「ニコニコ生放送」で8日、 各党の参院選立候補者とその応援者がネットユーザーに演説する「ネット演説」(10分間)を行いました。日本共産党は吉良よし子東京選挙区候補が、原田あきら都議や共産党青年学生後援会員、キラキラサポーターズ(吉良よし子勝手連)の女性の応援を受けて訴えました。
ネット演説の会場には聴衆はおらず、出演者は壁に映し出されたアバター(疑似聴衆)に向けて手を振ったり、訴えかけます。吉良候補は2番手で登場。原田都議の元気なあいさつの後、吉良氏が「若い世代が希望を持って働けない社会を変えたいという思いで、政治を志したのが原点」であり、6年前の参院選ではブラック企業をなくしたいと訴え、ブラック企業の社名公開制度の実現につながったことを紹介。
この制度実現は職場から声を挙げた多くの人がいたからだとのべ、「あなたの声を政治に届け、政治を動かし、社会を変えるのが共産党の議席です」と力説しました。
生きる選択を
吉良氏はまた、「不安ばかりの社会を希望ある社会に変えるのが今度の選挙」とのべ、年金の底上げ、最低賃金を引き上げ、長時間労働をなくす、学費の半減や返済不要の奨学金などを提案。大企業、富裕層への適正な課税や米軍への思いやり予算の廃止で7・5兆円の財源がつくれるとし、「消費増税をしなくても、全部の施策が実現できる」と主張。不公正な安倍政権を終わらせて「国民が輝き尊厳を持って生きられる選択を」と熱く訴えました。
青年学生後援会員の女性は3年前に大学を卒業し、利子114万円を含む540万円もの奨学金を20年間かけて返済しています。「学ぶためにローンを組んでまでして卒業しなくてはならない政治はおかしい」「学びたくても学べない学生を一人でも減らすために、日本共産党の吉良さんの当選を果たしたい」と力を込めました。
キラキラサポーターズの女性はブラック企業で働き、身も心もボロボロになって退職した時に吉良さんは、自己責任が当然という風潮があったのに、「若者を使い捨てにするな」「ブラック企業を許さない」と主張し、励まされたことを紹介。「この吉良さんに思いを託せば、必ず政治は変わると確信している」として、「8時間働けばふつうに暮らせる日本にしてほしいので、吉良さんを応援しています」とのべました。
自民・武見氏 医療制度を自慢するが…
自民党は武見敬三、丸川珠代両東京選挙区候補が川松真一朗都議の応援を受けて演説。武見氏はWHO(世界保健機構)の親善大使に任命されたことに関連して、「保険証1枚あれば、高額な先進医療が受けられる。こんな優しい医療制度を持っているのは日本ぐらい」「世界に誇れる医療制度を守ってきたのが武見だ」と胸を張りました。
しかし、高すぎる国民健康保険料を払えずに保険証を取り上げられたり、生活費を差し押さえられたり、医療費を気にかけて受診を控え病状を重篤化させるなど、貧困の広がりと保険料や医療費の負担増が深刻な実態を広げているのが実態です。武見氏はこうしたことに触れないだけでなく、医療保険制度を支える財源に、低所得者に重い負担をさらに強いる消費税10%増税を充てることを強調しました。
維新 音喜多氏 ポーズの「身を切る改革」
日本維新の会は、音喜多駿東京選挙区候補が出演。「消費増税の前に身を切る改革が必要だ」とのべ、国会議員の報酬と定数の3割カットを主張するものの、年間約320億円にのぼる税金を政党が山分けする政党助成金の廃止については触れもしませんでした。
日本維新の会は政党助成金を昨年は約13億900万円を受け取っています。維新議員1人あたりにすると5000万円を超える額で、国民の税金である政党助成金に依存する政党です。
また音喜多氏は、「企業団体献金を受け取らないたった一つの政党が維新だ」「しがらみがないから規制緩和できる」と強調しました。ところが維新は事実上の“抜け穴”となってきたパーティー券の販売は野放しです。さらに維新が「使途公開」を誇る国会議員の文書通信交通滞在費(文通費)も、不透明化につながる議員本人の政治団体への寄付が目立ちます。
これに対し日本共産党は、企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を主張するだけでなく、自ら一円も受け取っていません。文通費の使途公開もネットで行っています。両党を比較すれば、維新の「身を切る改革」がポーズでしかないことが一目瞭然です。
ネット演説にはこのほか、立憲民主党、国民民主党、社民党の候補者らが出演しました。
(東京民報2019年7月21日号に掲載)