JAL解雇争議の解決を 支援共闘会議が一斉宣伝〈8月9,16日合併号より〉
- 2020/8/6
- 労働・市民

「今こそ解雇争議を解決しコロナ禍を乗り越えよう」―。日本航空の不当解雇撤回を目指す国民支援共闘会議(JAL原告団)は7月29日、東京都内主要駅頭6カ所で一斉に宣伝行動を展開。原告31人、支援者ら95人が参加しました。
有楽町マリオン前で激励に駆けつけた“社会派トランペッター”松平晃さんが「この時期になると思い出すのは、JALの御巣鷹山の墜落事故」と話し、同事故で犠牲になった坂本九さんの代表曲「見上げてごらん夜の星を」を演奏すると、追悼の音色に家路を急ぐ人の足も止まります。「チラシをください」と、ビラ配布に飛び入り参加もありました。
航空労組連絡会の和波宏明事務局次長(争議団員)がマイクを握り、「コロナ禍の影響で航空業界は大きな影響を受け、収入が激減している労働者がいる」と切り出しました。「今、JALは解雇しないと言っていますが、2010年2月に整理解雇はしないと言いつつ大晦日に165人を解雇しました。JALは交渉の約束を反故にした経緯があるから、社員は“いつかは自分かもしれない”と怯えている。信頼回復のために争議の解決を」と訴えました。
パイロット原告団長の山口宏弥さんは「パイロットを年齢で一律に解雇する航空会社は外国にはありません」とし、「ベテランは経験の少ない若手を指導しカバーする役割を担う。安全のためにも必要なことです。しかし、JALは年齢で一律に整理解雇をしました」と批判し、争議の早期解決を求めました。
JAL解雇争議とは
2010年、JALが経営破綻。希望退職者などで人員削減の目標を大幅に達成したにもかかわらず突然、大晦日にパイロット、客室乗務員165人を整理解雇したことによる争議です。当時の稲盛和夫会長は記者会見でも、この件が争われた裁判でも「経営上解雇の必要はなかった」と述べています。
この間、最高裁ではJALの憲法28条(勤労者の団結権)違反が断罪され、国際労働機関(ILO)からも4回の改善勧告をされていますが事態の改善・進捗がありません。
JALは東京オリンピックオフィシャルパートナー(日本限定スポンサー)として、年間20憶円を出資しており、国際オリンピック委員会から、人権・労働・環境などの分野で国際基準の順守を求められる立場です。責任ある対応が求められています。
(東京民報2020年8月9,16日合併号より)