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被害者に謝罪と補償を 空襲の惨劇から75年 救済法 今国会で成立求め集会〈11月29日号より〉
- 2020/11/25
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戦後75年にあたる2020年も、残りわずかとなった11月18日、いまだ国に認められない民間人の空襲被害者に対する救済法の成立を今臨時国会中に実現するため、全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)が衆議院第二議員会館で総決起集会を開催。臨時国会召集翌日の10月27日に、超党派の国会議員連盟がすでに要綱案を確定しており、今国会での成立を求める声が相次ぎました。
2017年にも議連が素案をまとめたものの、与党内での調整が滞り、足踏み状態が続いていました。
今回の法案の柱は、民間空襲被害者と沖縄地上戦被害者に、一律50万円の特別給付金を支給すること。対象者は身体的障害に限らず、新たにPTSD(心的外傷後ストレス障害)被害者にも広げました。また、厚生労働省に認定審査会を設け、医療や障害者福祉、歴史の専門家を任命すること、追悼施設の設置、国籍不問なども加えています。
集会は黙とうから始まり、コロナ禍で欠席を余儀なくされた中山武敏弁護士(共同代表)のあいさつ文を司会者が代読。「法案成立に向け、人道的な観点から党派を超えた運動の展開が必要」とのメッセージを伝えました。
全国空襲連運営委員長の黒岩哲彦弁護士は、要綱案確定までの経過や今後の課題などを説明。「いよいよ最後の大詰めになりました。何としても戦後75年の今年中に、法案を成立させるために全力を尽くします」と力強く語りました。
また、来賓あいさつで日弁連副会長・立法対策センター委員長・東京弁護士会の冨田秀美会長は、当日発表した日弁連の荒中会長の声明を報告。軍人・軍属らには手厚い援護法が制定されているのに、民間戦災者への措置は現在まで講じられていないことに言及。「法の下の平等に反する」と批判しました。
超党派議員が意欲
集会は、自民党、立憲民主党、日本共産党、維新の会、国民民主党、社民党、れいわ新選組、無所属の国会議員が参加してあいさつ。共産党の笠井亮衆院議員は、「国際舞台では核兵器禁止条約が来年1月22日に発行されます。国内でも75年の節目に決着をつけるために超党派で頑張り抜く」と決意を表明。他党も法案成立に向け、意欲を語りました。
その後の討論では、東京大空襲で戦争孤児となった全国空襲連会員の木村マスさんが発言。「東京大空襲では10万人以上が亡くなりましたが、国は謝罪さえもない。補償がある、なしにかかわらず、我々を人間として認めるなら、まず謝罪すべき」と憤りをぶつけました。黒岩弁護士は「成立すれば戦争実態の記録化、記憶化にもつながる。国民に広く認知してもらうことも重要」と提言。全国空襲連副委員長・元毎日新聞編集委員の澤田猛さんは、「戦争孤児や空襲死者は救済されない穴だらけの救済法案だが、これを足掛かりに一歩ずつ進めていきたい」と集会を締めました。
戦禍をくぐり抜けた人々は高齢化し、一刻の猶予も許さず、臨時国会閉会の12月5日まで、各党の対応が注目されています。
(東京民報2020年11月29日号より)