日本共産党都議団は1月26日、今夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、開催は中止し、新型コロナウイルス対策に集中するよう小池百合子知事に申し入れました。
申し入れでは国内で緊急事態宣言が出され、自宅療養中や入院待ちの人が亡くなるなど医療逼迫(ひっぱく)が続き、開催延期を決めた昨年3月より深刻な事態になっていると指摘。どの世論調査でも五輪の中止・再延期を求める声が約8割に上るとし、現状を見れば「今年夏の五輪は中止し、コロナ対策に集中すべき」だと強調しています。

その理由として①ワクチン接種が一部の国で始まったものの、WHO(世界保健機関)は今年中の世界全体での集団免疫達成を「あり得ない」としている②感染状況の違いで各国に練習環境やワクチン接種の格差がありアスリート・ファーストの立場からも問題③大会を支える「オリンピック病院」に選定される都立病院などがコロナ対策の最前線に立っている中、多数の医療従事者を五輪に振り向けるのは現実的ではない―ことをあげています。
その上で、▽開催都市として今夏の五輪中止を決断し、東京都の持てる組織力、財政力、知恵をコロナ対策に集中する▽国、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)、関係機関に働きかけ、開催の是非をアスリートの意見も十分聞きながら、ゼロベースから協議すること─を求めています。
多羅尾光睦副知事は「感染状況は厳しい」との認識を示したものの、「中止・延期は検討していない。安全・安心な大会開催に尽力している」と答えました。
客観的に開催は不可能 慶応大名誉教授、弁護士 小林節さん

今でもオリンピックを「開催する」と言い張っている首相以下の当局者の発想は、常軌を逸している。もはや、客観的に見てオリンピックの開催は「不能」である。
コロナの世界的パンデミック(大感染)は、楽観的に考えても、あと2年は収束しない。だから、選手も観客も運営スタッフも世界中から集まりようがない。だからといって、無観客で、一部の選手だけで、強行しても、そんなものは「オリンピック」ではない。
「準備した費用が無駄になる」と言われても、それは、さらに無駄金を投入し続ける理由にはならない。
「中止に伴う損失補てんが恐ろしい」と言われても、歴史的な自然災害という大きな「事情変更」のもとで、そんなものが一方的に請求されるはずもない。
今は、世界中で全力を結集して人類の生命と生活を守り抜くことこそが政治の使命である。「お祭り」にこだわっている時ではない。(寄稿)
(東京民報2021年2月7日号より)