日本共産党の宮本徹衆院議員、風見利男、福島宏子両港区議、野口ひろき都議予定候補は3月29日、日本で最初に敷かれた鉄道遺構「高輪築堤」(港区)の保存について、文化庁から聞き取りし、保存を巡る現況の説明などを求めました。
高輪築堤は1872年(明治5年)に開業した、世界的に珍しい海上に線路を敷設するために築かれた鉄道建造物。JR東日本が進めている、予定事業費約5500億円規模の「品川開発プロジェクト」に伴う品川駅改良工事の際に、石垣の一部が19年4月に出土しました。約1・3㌔にわたって、事業予定地内に良好な状態で発見され、JR東日本の有識者会議が保存方策を検討し、区や関係者らと協議を行っています。

文化庁文化審議会文化財分科会は3月23日、遺構の重要性を評価し、文化庁長官に異例ともいえる建議を提出。考古学協会が全面保存を求める会長声明を発表したほか、鉄道史学会、日本歴史学協会など多くの団体が、現地保存や公開に関する要望書を提出しています。
一方、JR東日本は、明治初期の浮世絵にも描かれている「第7橋梁」を含む一部の現地保存を検討。港区は同橋梁をメーンに、最低80㍍の現地保存を求めています。
宮本氏は聞き取りで「コロナ禍で東京一極集中の弊害が明らかになった」と都市開発のあり方に意見し、「どの範囲を残すか、学者の意見を尊重すべき」と語りました。風見氏は「遺跡は国民の共有財産。一度壊したら二度と戻せない」と強調。福島氏は見学会が少ないことを指摘し、「子どもたちに見せたい」と訴えました。
文化庁側は協議の主体にないとして保存に関する具体的な発言は避け、「関係者による協議が建設的に行われるよう支援する」と述べるにとどまりました。
(東京民報2021年4月11日号より)