クローズアップ都議選 「寄り添ってくれた」大反響 共産党 痴漢被害を調査し質問 「当事者の声もっと都政に

 「色々と性被害を被った自分は、読んでて救われました。言えない、言ったら言ったでさらに踏みつけられて…。縮こまっていた自分の横に、米倉さんが寄り添いながら声をあげてくれるイメージが浮かびました。本当にありがとうございます」―ツイッター(短文投稿サイト)で米倉都議が、痴漢根絶を求めた本会議質問を紹介した発信に寄せられた感想です。

痴漢被害のアンケートをもとに本会議で質問する米倉都議=2月25日

 米倉都議は、「被害を家族や知人に話しても軽く扱われたり、隙があったのではと逆に責められ、傷ついたという声が多く寄せられました。そうした社会を変えていこうという呼びかけが、被害者の人たちの気持ちとかみあったのだと思いました」と振り返ります。

 共産党都委員会のジェンダー平等委員会が痴漢被害アンケートに取り組んだ目的は、深刻でありながら、光があたっていない性犯罪である痴漢の撲滅を政治の課題とすることでした。

 ツイッターでアンケートの実施を知らせると、一回の発信で、650人近い回答が。回答者が、「回答しました。役立ててほしい」など、周囲に紹介する動きが広がり1435人から寄せられました。

 18歳以下での被害経験があるとの回答が71・5%、小学生以下(12歳以下)は34・5%に上り、「ほぼ毎日、通学時に痴漢被害にあった」など深刻な被害が多数あります。その後の人生や人間関係に重大な影響を与えており、「電車に乗ろうとすると過呼吸になり仕事を辞めた」、「男性が隣に座ると怖くて動けない」などの回答が寄せられました。

 回答をもとに行った質問に小池知事は、被害に遭うと、「精神的なダメージを受けるにもかかわらず、被害を受けたことを声に出しづらいことが多い」と、被害の深刻さを認めました。

自・公・都ファ 少ない女性候補

 虐待などで家にいられない若い女性が、性的搾取の標的となっています。若い女性への公的支援も、米倉都議が繰り返し取り組んできたテーマです。夜間の見回りや、声かけなどを行う民間団体と連携した支援事業が、2018年に初めて都のモデル事業としてスタート。21年度から本格実施となり、予算が3倍になります。

 米倉都議は、都政における、こうした取り組みについて、「今年度から事業を本格化することは大事です。ただ、若い女性たちへの支援も、関係者が繰り返し要望してきたのに、都の対応は遅すぎます。都議会も含めて、都政の意思決定の場に、女性や若い人が非常に少ないことが影響し、ジェンダー平等や女性支援の分野が都政で重視されていない」と指摘します。

 今度の都議選でも、主要党派で女性の候補者が占める割合(4月20日時点)は、自民党、公明党は10%台、都民ファーストは30%台にとどまっています(表)。

 同時に米倉都議は、共産党がこの間、2回連続で都議選で躍進し、8議席から現在18議席に伸ばしたことで、「議員数が増えて、質問準備や調査に時間をかけられるようになり、都議団として扱える分野が、すごく増えた」と話します。

 同党の池川友一都議は、ツーブロックという髪型を禁止したり、髪を染めていないかを確認する「地毛証明書」提出を求めるなど、人権を侵害する校則について繰り返し質問。マスコミでも大きな反響を呼びました。

  政治の分野でのジェンダー平等が大きく遅れた日本で、都議選(6月25日告示、7月4日投票)の大きな焦点の一つが、個人の尊厳と多様性を重視し、ジェンダー平等を進める都議会をつくることです。日本共産党の米倉春奈都議は2月25日、深刻な性犯罪である痴漢の問題を都議会本会議で初めて全面的に取り上げ、大きな反響を呼びました。

 米倉都議は、「18人の議席でも、まだ足りません。都議選で共産党都議団の議席をもっともっと大きくし、ジェンダー平等や個人の尊厳を守るため、さまざまな分野の当事者の気持ちや、現場の実態を、都政の場に届けたい」と話します。

行政が痴漢許さぬ発信を 加害者臨床に取り組む 斉藤章佳さん

 米倉都議が質問で示した痴漢被害の実態について、長年、性犯罪加害者の治療プログラムに取り組む、斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士)に聞きました。

 通学で毎日のように痴漢に遭うなど、痴漢の被害は非常に深刻で、被害者は日々自尊心を削られ、「自分は価値がない人間なんだ」とか「私が我慢していればいずれ収まる」と刷り込まれていきます。

 被害者が周囲に相談しても逆に責められるなど二次被害に遭う背景にあるのが、男尊女卑的な価値観を背景とする「性欲原因論」です。男性の性欲はコントロールできないから痴漢をしても仕方がない、被害者に隙があったのが悪いという、加害者にとって非常に都合の良い「認知の歪み」につながっています。

 実際に加害者側がねらうのは、露出の多い派手な服装の女性ではなく、加害者に対して従順で被害を訴えなさそうだととらえる、制服を着た子どもたちです。加害者は、四大卒で、妻子のある、普段は従順に長時間労働を厭わないサラリーマンが最も多い。ストレスへの対処行動として、痴漢を選択し常習化していきます。こうした実態をきちんと知らせることが、二次被害を、しいては二次加害をも防ぐことになります。

 行政に必要なのは、正しい実態の把握に基づいた対策です。特に、痴漢が起きた時に、まわりにいる第三者が見て見ぬふりをしない、社会として痴漢は許さないという啓発が非常に大切です。

【東京民報2021年4月25日号より】

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