菅・安倍政権を真っ向批判する映画「パンケーキを毒見する」が都心の有名映画館で上映されています。テレビや大手メディアでは全く無視されているのに、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や口コミで拡大しています。
冒頭は「日本学術会議の委員の任命拒絶」に関する国会質疑を、上西充子法政大学教授がビデオで解説します。答えているように見せかけながら、のらりくらりと答えない、論点をずらす菅首相の不誠実な対応に「こんな国会・政府答弁でいいのか!」と腹が立ちます。
就任早々の大手メディアの政治部担当記者との「パンケーキ懇談会」への参加も、「特落ち」を恐れる記者心理に乗じた巧みな取り込みです。この中で「サクラ疑惑」のスクープを飛ばした赤旗日曜版の編集局にカメラを持ち込み、編集者に長時間インタビューをしています。なぜスクープを飛ばせたのか?という質問に編集者は「安倍内閣は国政の私物化を行っている。これを批判する国民的視点を持っていたためだ」と答えています。公金で運営される「桜を見る会」に多くの安倍後援会員が招待されていることを「普通のこと」と感じていた大手メディア記者との視点の違いを指摘しています。
映画は、先進諸国の中で日本は、各種指標が最低レベルに落ち込んでいることを指摘。若者の低投票率について考えさせ、「それでも自民党は選挙で選ばれている」現実を突きつけます。そして、従順な「羊の国家は狼の政府を生む」(エドワード・R・マロー)、「問題に沈黙するようになったとき我々の命は終わりへと向かう」(キング牧師)の名言を提示して終わります。この秋の総選挙に向けた私たちへの呼びかけと見ました。(フリーライター・松原定雄)
▼同制作委員会・河村光庸プロデューサー。新宿ピカデリー他で上映中
〈2021年9月5日号より〉