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ネットの中傷なくしたい 始まりは「差別」指摘への中傷から 被害受ける女性ら会見〈10月24日号より〉
- 2021/10/18
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それは「女性差別」「障害者差別」との発言への中傷から始まった―インターネットでの誹謗中傷の解消を呼びかける「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」が11日、国会内で記者会見を開きました。
会見にはメンバーの石川優実さん(アクティビスト)、伊是名夏子さん(コラムニスト)、菱山奈南帆子さん(市民活動家)、山田亜紀子さん(編集者)が登壇し、尾林芳匡弁護士が応援弁護士として参加。①SNSでの誹謗中傷による自殺撲滅②SNS事業者に差別解消を義務付ける法制化の呼びかけ③オンライン上でのヘイトスピーチ解消に向けた取り組み―をすると発表しました。
会見では#MeTooミートゥー(2017年)の広がり以来、女性差別について声をあげる人が増え、SNSを中心に新しい形での運動や連帯も広がり、政治にも影響をもたす一方、女性運動の盛り上がりに伴いフェミニズムやジェンダー平等思想を嫌悪する勢力による誹謗中傷が激しさを増し、運動を担う人らの正常な日常生活を脅かしている実態が語られました。
生きていていいのか、という気持ちに
石川さんは職場でのパンプス強要に疑問を投げかけた#KuTooクートゥー運動で声をあげたら執拗な嫌がらせが始まったと訴えます。思い込みや偏見にとらわれたデマの流布に始まり、「レイプされて死ね」「コロナで肺炎で死ねばいい」などの嫌がらせが2年続いています。「生きていていいのかという気持ちになることもある。オンラインハラスメントの怖さは死にたくないのに、死ぬしかないと思ってしまうこと」と警鐘を鳴らします。
電動車いすを使用する伊是名さんは、鉄道利用の際のトラブルでの疑問をSNSで投げかけたら嫌がらせが始まりました。「障害者のくせに」「テロリスト」「社会の迷惑、いなくなれ」に始まり、自宅住所も公表・拡散され「階段から突き落としたい」との言葉を投げつけられました。
誤解を解消しようとしても、次から次へと批判の形を借りた暴言を浴びせられ、「街で自分の子を注意しても、(その様子が)悪意で拡散されるのではとおびえる。涙が止まらなくなることもあり、ネットでの集団リンチに遭っているよう」と絞り出しました。
安心して声上げられる、法改正も求める
菱山さんは「女性差別を訴えると、市民活動で政治に言及した以上のクソリプ(罵倒や見当違いの批判)が増えます。見なければいい。有名税と言われるが違う」と強調します。女性が標的にされた8月の小田急電鉄殺傷事件を「フェミサイド(女性であることを理由にした殺人)だ」と発言したとたん盗撮や付きまといが次々と増大し、「止めるよう発信すれば、被害妄想とされる」と実態を告発。
また、石川さんと街頭で訴えた際には付きまとい、望遠レンズで盗撮していた男性を取り押さえたことを「リンチした」と事実を捻じ曲げられて拡散されました。
3者とも「安心して声を発せられるSNS環境を求める」と訴えます。「加害者は放置され、情報開示請求などもハードルが高い。発信は続けたい。被害者が見なければ良いのではない。自由にモノが言える社会を取り戻したい」としています。
尾林弁護士は「付きまといや注文していない商品を送り付ける行為などは人権侵害。刃物の写真とともに『よく切れる』などの返信は脅迫」だと警告。さらに被害者は多いとして、①スクリーンショットなどの記録②本人や弁護士による警告③ひどい場合は法的手続き―が必要と示し、「安心して声があげられるような法改正が必要だ」と述べました。
後日、法改正に向けて署名活動も始める予定です。
(東京民報2021年10月24日号より)