外国人医療費受診の権利守る制度に 民医連が国に要請書〈12月12日号より〉
- 2021/12/7
- 労働・市民
「外国人の医療を受ける権利が保障されていない」として11月29日、全日本民主医療連合会(民医連)は国に対し改善を求める要請書を提出し、記者会見を開きました。
要請書では今年3月、名古屋出入国管理局に収容された女性が、医療が提供されないままに死亡した事件をはじめ「難民認定の不備と、当事者が社会保障から疎外されていることにより医療が適切受けられていない」と指摘。①国籍や在留資格の有無を問わず、日本にいるすべての人に医療を保障すること②当面の措置(医療の保障の拡大など)③難民審査認定の在り方の全面見直し―などの具体的支援を求めています。

会見には民医連加盟医療機関の医療ソーシャルワーカーも参加し、深刻な現状を説明。名古屋の事件は氷山の一角だとして、搬送事例や治療費の未収について事例が報告されました。
ある事例では人工透析が必要な腎臓疾患でありながら医療費が払いきれず、他院での医療費未収額は600万円になり治療を中断。民医連の病院に救急搬送された時はより症状が重篤化。現在、公的補填ほてんの対象外の医療費800万円が未収でありながらも命の危機があるために、治療を拒否できないといいます。当事者は難民申請中の仮放免であり就労は不可能で生活保護なども受けることはできません。こうした例は他に多数あり、治療費が回収できないために医療機関の収益を圧迫していると告発しました。
日本の難民認定率はわずか0・4%で諸外国に劣るとして、国連から処遇の改善も含めて改善勧告を受けています。日本で就労する外国人は特定技能実習生の増加などで172・4万人(2020年10月末現在、厚労省資料)といわれる中、改善は喫緊の課題だと訴えています。
(東京民報2021年12月12日号より)