【アーカイブ】独法化は後世に悔い 医療切り捨てを批判 都議会 和泉都議が代表質問 ジェンダー平等、気候危機打開に都の取り組み求める〈2021年10月17日号より〉

都議会第3回定例会は5日に小池百合子知事の所信表明に対する各会派の代表質問を行い、日本共産党は和泉なおみ都議が立ちました。小池知事が都立病院・公社病院の地方独立行政法人化を強行しようと、法人の組織形態や業務内容を定める定款議案を定例会に提出したことを批判し、撤回を求めました。

質問する和泉都議

代表質問に立つ和泉なおみ都議=5日

都は独法化の理由について、行政的医療を確実に提供し、医療を取り巻く環境変化に迅速に対応するためなどと説明しています。小池知事は最短スケジュールである、22年7月の法人設立を表明しています。和泉都議は「なぜコロナ禍のもと独法化なのか」「意味不明の説明を繰り返すだけだ」と都の対応を批判しました。

和泉都議は、都立・公社病院が都内の新型コロナ対応病床の3割、2000床を確保し、透析患者、妊婦、障害者らを受け入れているとし、「都立病院が都直営で、公社病院も都立に準じて運営しているからこそ、こうした機動的対応ができる」と指摘。「都立・公社病院のコロナ対応に、独法化しなければ解決できない重大な不都合があったのか」とただしました。

また、「コロナ禍は、公立病院が担う緊急時などの役割を軽視し、相次いで縮小・削減してきた新自由主義的な医療政策が、根本的に間違っていたことを浮き彫りにした」として、「都立・公社病院を抜本的に充実・強化することこそ必要だ」と強調。独法化した都健康長寿医療センターでは、独法化後に病床を161床減らし、差額ベッドを大幅に増やした事実を示し、「行政的医療を切り捨て『稼ぐ医療』を優先するのが独法化だ」と追及しました。

和泉都議は、独法化に伴い公務員の身分を奪う法律はあるが、公務員に戻す法律はないことをあげ、「独法化は失敗しても後戻りできない『片道切符』だ」とのべ、「後世に悔いを残さない決断を」と呼びかけました。

答弁する小池知事

和泉都議の代表質問に答弁する小池知事

小池知事は独法化準備を「着実に進める」と強弁しただけで、独法化しなければならない理由について、まともに答えることはできませんでした。

和泉都議は、コロナ第6波を起こさない対策と起きた時の対策が重要だとして、ワクチン接種と一体の大規模検査の実施、医療体制の抜本的強化、事業者への十分な補償と都民生活への支援、文化・芸術への支援を具体的に求めました。

ジェンダー平等、気候危機打開へ

日本はジェンダーギャップ指数が156カ国中120位で、G7(先進7カ国)で最下位です。

和泉都議は「明らかな男女不平等を東京から変えていくことが必要だ」と強調。同性カップルなどを公認するパートナーシップ制度は5府県が開始するなど、実施自治体が日本の人口の4割超まで広がっていると指摘。

その上で一刻も早い具体化を求める当事者や運動団体の声を受け止め、都も速やかに実施するよう要求。黒沼靖総務局長は、当事者や有識者にヒアリングを実施し「意見を踏まえ制度の検討を進める」と答弁しました。

また和泉都議は、都の男女平等参画推進総合計画にジェンダー平等を明確に位置付け、痴漢ゼロ対策、駅や私立学校のトイレにも生理用品を置くことなどを求めました。

気候危機について和泉都議は、「あと10年たらずで温暖化ガスを半減できるかどうかに、人類の未来がかかっている」と強調。都の2030年までに温室効果ガスとエネルギー消費を50%削減する目標を裏付ける計画と、進捗状況公開、審議会設置を提案。

また、建物・住宅の断熱や太陽光パネル設置の促進を要求。都内各地で温室ガス削減に逆行する巨大開発が進められていることを批判。大企業に対する都独自の炭素税の導入検討を提起しました。

小池知事は排出削減目標の実現へ「環境基本計画の改定に着手しているところ」だとし、「施策の抜本的強化を図ってゆく」と答えました。

和泉都議の質問を聞く小池知事

和泉都議の質問を聞く小池知事

他にも重要課題

和泉都議は他に、小中学校の少人数学級の実現などの教育課題や、保育園の待機児童解消、防災対策、新羽田ルート問題、外環道工事での陥没事故への都の対応、カジノ誘致問題、米軍基地所属のオスプレイが各地で危険を広げている問題、東京五輪・パラリンピックの徹底した検証と経費の負担問題について質問しました。

和泉なおみ都議の代表質問詳細はこちら

【東京民報アーカイブ 2021年10月17日号】独法化は後世に悔い 医療切り捨てを批判 都議会 和泉都議が代表質問

独法化 主要会派の主張は

立憲民主党の西沢けいた都議は代表質問で「働く人たちの身分や賃金にも影響を与えかねない独立行政法人化の提案は、現場に不要な不安と混乱を招き、ひいては都民サービスの低下につながりかねない」とのべ、「現時点での独立行政法人化の定款の提案は見送るべき」と主張しました。

一方、自民党の小宮あんり都議は「もともと都立、公社病院の独法化は、人、物、予算の面で、今よりもより柔軟な運営が一体的にできるよう検討されてきたもの」、都民ファーストの会の増子ひろき都議は「働き手のニーズに合わせた柔軟な勤務制度や専門性を考慮した給与制度を構築し、医療人材を確保、育成することが期待される」、公明党の東村邦浩都議は「都立、公社病院は都民の命と健康を支える重要な医療基盤であり、独法化による今後の病院改革は、都民の安全・安心をより一層高めるために必要」と、いずれも都の主張に沿って、独法化推進の立場を鮮明にしています。

(東京民報2021年10月17日付から)

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