気候危機とよぶべき非常事態が起こっています。すでに世界各地で異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。日本でも「経験したことがない」豪雨や暴風、猛暑など深刻です。東京都における気候危機対策の概要と日本共産党都議団の提案などについて、2回にわたり紹介します。
国連IPCC「1・5度特別報告書」は、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO2=二酸化炭素)の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1・5度までに抑え込むことができないことを明らかにしました。
パリ協定(17年8月)は「上昇幅を2度を十分に下回り、1・5度以内に抑える」ことを目的に日本を含む世界196カ国が合意して締結。世界1000を超える自治体も、「気候非常事態宣言」を出し、緊急行動を呼びかけています。
世界に比べ遅れをとる日本ですが、東京都では19年12月、2050年のCO2排出実質ゼロに向けた「ゼロエミッション東京戦略」を公表。20年12月には気候危機はより深刻化しているとして「気候非常事態を超えて行動を加速する宣言」を出し、「世界をリードしていく」と表明しました。
2021年3月には「ゼロエミッション東京戦略Update & Report(アップデート&レポート)」を策定。2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロに向け、30年までに2000年比で排出量半減の目標を掲げました(表参照)。
都はビジネス、市民生活、都市づくりなど「あらゆる分野の社会的経済構造を、脱炭素型に移行する再構築・再設計が必要」だとし、2030年までにカーボンハーフ実現に向けた36のアプローチ、直ちに加速・強化する94の新たな取り組みを提示。各部局や公営企業(次期計画期間=25~29年度=から統合予定)の個別計画の戦略をアップデートしています。
都はこうした一連の取り組みを公表してきましたが実際の行動は、それにふさわしいものとなっているのでしょうか。(東京民報編集部)
(東京民報2021年12月12日号より)