
気候危機を止めるための具体的な行動を、各国のリーダーや企業に求める「世界気候危機アクション」が25日、世界各地で取り組まれます。
若者を中心とした運動「Fridays For Future(FFF、未来のための金曜日)」が呼びかけているもの。東京で活動するFFFTokyoは、インスタライブ(画像投稿サイト・インスタグラムの生配信機能)によるイベント「気候変動アクションスターターパック」を夜8時から開きます。
スターターパックとは、ゲームなどの商品で、初めて使う人向けの付属品などをそろえて「すぐに始められる」ようにしたセット。気候変動や環境問題に関心はあっても、「あと一歩、踏み出せない」という人たちにとって、「運動への最初の一歩」となるような企画を目指しています。
メンバーで高校生の齋藤美月さん(16歳)は、「オンラインだからこそ気軽に参加できて、多くの人たちにメッセージを届けられる。真面目過ぎず、楽しいものにしたい」と話します。
気候危機に関するクイズや、企業がなぜ気候危機対策に乗り出せないのか対話してみての報告、メンバーからの運動への参加呼びかけのスピーチなどを予定しています。
大学生の田原美優さん(20歳)は、「どうやったら多くの人に運動に参加してもらえるのか、FFFのメンバーが普段から考えてきたことを全力で形にして、見る人を深く揺さぶるものになれば」と意気込みます。
運動を生活の一場面に 25日に気候危機アクション
FFFは、2018年にスウェーデンの高校生だったグレタ・トゥーンベリさんが始めた学校ストライキをきっかけに、世界の若者に広まった運動です。
今回のアクションでFFFJapanは、気温上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑制するというパリ協定の目標に整合した政府の政策、企業の行動を求めています。
高校生の齋藤さんは、今回のアクションが、FFFTokyoの中心メンバーとして取り組む初めてのイベントです。「気候危機は、対策に必要な時間が限られていることを、もっと多くの人に気づいてほしい」と話します。
中学生のころ、ドキュメンタリー番組を見て、環境問題に関心を持ちました。学校の調べ学習などの機会に学んでいくなかで、気候危機の現状を知ったと振り返ります。
「FFFのミーティングでは、先輩たちと学校で話せないような社会や政治のことも話せて、刺激になる。アクティビストというと、日本では過激な人とか見られがちだけど、恋バナ(恋の話)もするし、普通の人たちなんだと実感した」といいます。
大学2年生の田原さんは、1年生の夏に動画投稿サイトでプラスチックについての動画を見て、「貧しい人々、途上国の人たちの方が、環境問題で大きな影響を受けるんだと、心を痛めた」ことから、関心を持ちました。
ゴミの収集について知りたいと、行政に問い合わせたところ、施設を見学させてくれたといいます。「自分たちが動くことで、社会を動かせることも、いろいろあるんだ」と実感したことが、FFFでの活動に踏み出すきっかけになりました。
「政治や行政へのアプローチのツールを知ったことで、自分にとって社会を変えることは、カジュアルな生活の一場面になってきた」―25日のイベント「気候変動アクションスターターパック」では、「『自分がこれを知っていたら、もっと早く運動に踏み出せたのに』ということを、多くの人たちに伝えたい」と語ります。
〈東京民報2022年3月13日号より〉